平成23年12月23日(金)  目次へ  前回に戻る

 

今日は天皇誕生日です。昨年は一般参賀に行って陛下にお力をいただいて帰ってきたが、今年はよう行かなんだ。

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明の赤水先生・屠隆がいうには、およそ

蔵書、於未梅雨之前、晒取極燥、入櫃中。

書を蔵するには、いまだ梅雨ならざるの前に、晒して極燥せるを取りて櫃中に入る。

書物を保管しようとする者は、それを梅雨の始まる前に日干しをして、よく乾燥させ、木箱の中にしまいこむことじゃ。

この木箱(「櫃」)には、

以紙糊門外及小縫令不通風。蓋蒸気自外而入也。

紙を以て門外を糊し、及び、小縫して風を通ぜざらしめよ。けだし、蒸気外より入るなり。

紙に糊をつけて隙間のところに貼り付け、できればさらに上下に紐を通して密閉すること。湿気が入り込むのを防ぐのだ。

その前に、木箱の中には

納芸香麝香樟脳、可以避蠹。

芸香(うんこう)・麝香(じゃこう)・樟脳を納れ、以て蠹(と)を避くべし。

かおりぐさや麝香、樟脳の類を入れておき、紙くい虫にやられないようにすること。

ああ、まともな読書人はこうやって本を大切にするのです。それなのに、わしと来たら・・・。

さらに、およそ

観書、勿捲、勿折角、勿以爪侵字、勿以唾掲幅、以作枕、以挟刺、。

書を観るには、捲ることなかれ、角を折ることなかれ、爪を以て字を侵すなかれ、唾を以て幅を掲ぐることなかれ、以て枕と作すなかれ、以て刺を挟むなかれ。

読書するときには、背表紙までぐるりと捲り上げてはならない(180度以上開くな、というのである)。

ページの角を折り曲げたりするな。

爪を引っ掛けて字を削ったりするな。

開いたところで唾を飛ばして議論したりするな。

枕に使うな。

しおり代わりに厚手の紙や板を挟み込むな。

おやじの小言のようになってまいりました。それにしても昔も本を枕にしたり、名刺をはさんだりするやつがいたのですね。(ちなみにわたしは、足を置く場にも座布団にも使っている。)

随損、随修、随開、随掩、則無傷矣。

損するに随いて随修せよ、開くに随いて随掩せよ、すなわち傷むること無からん。

傷つけたらすぐに補修せよ。開いて読んだらすぐに閉じて保存せよ。そうしておけば、長持ちするものじゃ。

これは、元の趙子昴が書きのこしているのだ。

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「考槃餘事」巻一より。

自分がやっていることがイヤになってまいります。ほかのひとは(おそらく)大切なものは大切にしているのであろうに、わしは大切なものを扱うのにあまりにいい加減である。

国土にも陛下にもみなさんにも申し訳ない。もう一度立ち直れるようにがんば・・・れるかどうかわかりませんので、決意はしないことにしました。

なお、今日から表紙に「東洋古典ポストモダン」の語を入れてみた。「ポストモダン」で検索した愚か者が引っかからないかと思って・・・。

 

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