令和2年2月4日(火)  目次へ  前回に戻る

昨日のマメのお代わりを寄越せと迫るおにたちだ。

立春しました。お祝いに何かごちそうを、と思って、今日はチャーシュー麺だった。

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孔子の高弟・曾参が、ある時、

食魚、有余。

魚を食らうに、余有り。

魚を食ったところ、食べ残しがあった。

食品ロスは意識が低いので曾参のような賢者はもちろん、古代のひとはみんな飢えているのでしません。しかも魚はタンパク質の取れる大変なごちそうです。

曾参は門人たちに命じました。

泔之。

これを泔せよ。

「これをコメ汁に漬けておけ」

「泔」(かん)はコメのとぎ汁を指します。ここでの曾参の指示は、コメと一緒にして発酵させて「なれずし」を作っておけ、ということではないかと思います。

門人曰、泔之傷人。不若奧之。

門人曰く、これを泔せば人を傷(いた)めん。これを奧するに若かず。

門人が言った。

「魚の食べ残しをなれずしにすれば、食中毒を起こして後で食べる人を苦しめてしまうかも知れません。炙って燻製にした方がよいかと思います」

「奧」(おう)は「奥」の本字ですが、ここでは「燠」(おう)の意で「あたためる」「いぶす」。門人は「燻製にした方が長持ちしまっせ」と言ったのです。

それを聞いて

「え? あぶる?」

曾参は絶句し、しばらく茫然としていましたが、やがて、

泣涕。

泣涕す。

涙を流して泣き始めた。

「涕」(てい)は目から出る涙、鼻水も出ますと「涕洟」とか「涕泗」と言います。

「ど、どうされましたか(そんなになれずしが食べたかったんですか)?」

門人たちが心配して訊くと、曾参は言った。

有異心乎哉。傷其聞之晩也。

異心有らんや。そのこれを聞くの晩(おそ)きを傷(いた)むなり。

「誰かを苦しめようとしてそう言ったのではないのだ。そんな大事なことを聞くのがおそくなって、今やっと聞いた(これまで知らなかった)ことを反省して泣いているのだ」

と。

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「荀子」大略篇第二十七より。賢者は知らないことを教えてもらうと感激するみたいです。昨日余ったマメや恵方巻はいつごろまで食べられるのか、わしも知りたいな。今月いっぱいぐらいは大丈夫・・・かな? 

明日の夜から寒くなるみたいです。なんとかがんばろう。

 

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