平成30年6月26日(火)  目次へ  前回に戻る

明日は絶望的である。ぶた僧侶らの祈りも届かず、最終的にはひよこ僧侶あたりに引導を渡されることになるのであろう。ああ。

今日もなんとか逃げおおせたが、明日はいよいよこの1〜2年で最大級の失態が起こると予想される。いよいよ肝冷斎一族完全滅亡の日が近づいているのだ。

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そろそろ覚悟を決めなければならぬ。

細算人生事、 人生の事を細算すれば、

彭殤共一籌。 彭と殤、ともに一籌(ちゅう)なり。

 人生のことを細かく計算していけば、

 彭祖も殤子も勝ち負けはない。

「彭祖」と「殤子」は「荘子」斉物論篇に出てくるひとたちです。

天下莫大于秋豪、而泰山爲小。莫寿于殤子、而彭祖爲夭。

天下に秋豪より大なるはなく、泰山も小と為す。殤子より寿(いのちなが)きはなく、彭祖も夭と為す。

この世の中には、秋の獣の毛の先ほどでかいものはない。これに比べれば泰山も小さなものだ。成人前に死んだ若死にさんほど長生きなものはない。これに比べれば古代の伝説の長寿者で八百歳まで生きてという彭祖でさえ早く死んだといえよう。

巨大な宇宙の観点に立てば、万物の間に差異は無い、みんなおんなじなんだあ、という有名な「斉物の論」に出てきます。

「一籌」について。竹の棒の一方の先に数字が書いてあるのが「籌」で、数字を隠してこれを引きます。おみくじの引き札をイメージしていただければいいと思います。引いた数字を占いに使うのがおみくじですが、複数人で引いて数の多い方が勝ち、という数取りゲームにも使えます。「一籌」というのは、同じ竹の棒、ということですから、当然同じ数字が書いてあって、「同点引き分け」ということです。

そのようにどう転んでもだいたい同点引き分けな勝負にしかならない中では、

与愁争庭事、 愁いと庭事(なにごと)をか争いて、

要爾作戈矛。 爾に戈矛(かぼう)と作(な)るを要(もと)めんや。

 憂愁の思いがあるわけですが、そんな思いと争ってもしようがない。

おまえさんに、憂愁の思いと争うための戈や矛になってくれとは思わんよ。

ここで「爾」(おまえさん)と呼びかけている相手は誰でしょうか。

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唐・杜牧「不飲 贈酒」詩「飲まず、酒に贈る」という題(「酒を贈る」ではなく「酒に贈る」)なので、「今日はお酒を飲まかなった。その日にお酒に贈る詩」ということで、「爾」と呼びかけている相手はお酒です。どっかの演歌みたいですね。

まあ心の中の心配と争ってもしようがないので、絶望的にもう寝ます。明日はどうせ大失態で敗北するのは確実なのだ。しかし成功と失敗に何ほどの違いがあるのだろうか。

 

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