平成30年4月29日(日)  目次へ  前回に戻る

カラスから見ても、ぶたなんかいいエジキである。身を隠して見つからないようにするしかない。

もう会社には行かないことにしました。しかし見つかって連れ戻されてしまうといけないので、明日身をくらまして、落ち着き場所を探すまで、しばらく更新を休みます。うっしっし。うっしっし。わっはっは。

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みなさんも気をつけてほしいのですが、広州・従化県には、

凶年多虎。

凶年、虎多し。

不作の年には、特にトラがよく出現する。

らしいんです。そのような時には、

猟者爲機穽林中、而撃土以致虎。虎毎伏地、撃土則必跳躍而出。

猟者、林中に機穽を為(つく)り、而して土を撃ちて以て虎を致す。虎つねに地に伏し、土を撃てば必ず跳躍して出づ。

猟師は、林の樹々の間にワナを作っておいて、それから地面を叩いてトラをおびき出すのである。何故というに、トラはつねに地面に寝ていて、地面の震動によって獲物が近づいたことを察知して、飛び出してくるものだからである。

トラというものは、

其飽易撃、饑則難。

その飽くや撃ちやすきも、饑うればすなわち難し。

腹がいっぱいになっているときには退治しやすいのだが、腹を減らしているときには退治しにくくなる。

そこで、上述の方法でトラをおびき出したときには、

嘗以甘餌投之。

さきに甘餌を以てこれを投ず。

まず先にトラに美味そうなエジキを目の前に投げて、それを食べさせてから退治するのである。

ところが、いにしえのひとは、こんなことを言っている。

虎者戻蟲、人者甘餌。

虎なるものは戻蟲(れいちゅう)なり、人なるものは甘餌なり、と。

「トラは残虐なドウブツである、ひとは美味いエジキである」と。

ああ。

不作の年には、トラの出現が多い、というのは、トラの方の都合ではない。人間がトラを駆り立てようとしてトラのいるところに近づくからなのだ。

虎不食人、人自爲甘餌以投之、奈何哉。

虎は人を食らわざるも、人自ら甘餌と為りて以てこれに投ぜば、いかんせんや。

トラがニンゲンを食おうとしなくても、ニンゲンの方が進んでトラのえじきになるために林の中に身を投じるのなら、どうしようというのだ。どうしようもないではないか。

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「廣東新語」巻二十一より。トラがコワいのでおいらは身をくらましますが、ニンゲン社会では相も変らず虎児が欲しくてしようがない人がいて、「誰か」を虎穴に入れて虎児を獲らせようと狙っているみたいですよ。みなさんがその「誰か」にならないように、遠いところで祈っております。(手始めにこんなところに潜んでみる。もちろん明日はもうここにはいませんよ。うっしっし。)

 

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