平成29年12月6日(水)  目次へ  前回に戻る

乾燥し荒れ果てた大地を行くメキシコぶた。人生の表裏すべてを知り尽くして、苦み走った表情である。

今日は最高裁でNHKがうっしっし(勝訴したように報道しているようですが)だったので、肝冷斎が少しだけ立ち直ったようです。したがって「へびニンゲンでにょろん」ではなく、普通に肝冷斎が更新します。それにしてもこのHPを一人で更新し続けていると思っているひとが多くて困りますなあ。このHPを何人でやっているか、知らない方がいいですよ。

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世の中知らない方がいいことはたくさんあります。さらに言えば、いろんなことを知っている、というひとは後々困りますぞ。

我見多知漢、 我、多知の漢を見るに、

終日用心神。 終日、心神を用う。

 わたくしが、いろんなことを知っているひとを観察していると、

 彼らは一日中、精神力を使ってたいへんである。

岐路逞嘍囉、 岐路に嘍囉(ろうら)を逞し、

欺謾一切人。 一切の人を欺謾す。

「嘍囉」という変な詞が出てまいりました。これは南北朝時代に突厥族から伝わったコトバ、ということですから、トルコ系の外来語です。悪い意味では「悪害を為す」、いい意味だと「英雄的な」といった意味で使われるそうです。

判断を要する分かれ道で、勇断を見せ、

あらゆるひとたちを欺き、だましとおそうとする。

こんなことは、

唯作地獄滓、 ただ地獄の滓を作すのみにして、

不修正直因。 正直の因を修めず。

 ただジゴクのカス(罪人たち)になろうとしてその原因を作っているばかりで、

 正しく真直ぐな因縁を作るものではない。

このひとたちは、

忽然無常至、 忽然として無常至るに、

定知乱紛紛。 定めて乱紛紛たらん。

 突然に無常のおきて(「死」)が目の前にやってきたとき、

 大混乱に陥ることでありましょう。

みなさんはまさかこのひとたちのようにいろんなことを知っているわけではないでしょうから、無常の来る前にようく準備しておくことができると思いますよ。

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「寒山詩」より。いろんなことを知るより、無常の到来に備える方が重要なんです。

 

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