平成28年5月15日(日)  目次へ  前回に戻る

ひと時の雨ならば楽しむこともできようが・・・。

明日もまたひどい人生に突入。なんでこんなにツラいのか。

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ああ、もうあの春の日にもどることはないのだろうか。

夜来皓月纔当午、 夜来の皓月、まさに午に当たり、

重簾悄悄無人語。 重簾悄悄として人語無し。

 夜も更け、白い月はちょうど南の空にある(深夜なのだ)。

 重いすだれはしおしおと垂れ、ひとの声など聞こえない。

深処麝烟長、 深処に麝烟長しえに、

臥時留薄粧。 臥時も薄粧を留どむ。

 お屋敷の奥のお部屋では、麝香のけむりはまだ消えず、

 横になっても眠り得ず、薄い化粧をほどこしている。

↑という美しいひとの独り語りが↓の言葉。

当年還自惜、 当年また自ずから惜しむも、

往事那堪憶。 往事、那(な)んぞ憶うに堪えん。

「あのころのことはやはりいとおしいけれど、

 過ぎてしまったこと、思い出すにも耐えがたい」

と寝られぬうちに、時は過ぎ、

花露月明残、 花露に月明残り、

錦衾知暁寒。 錦衾に暁寒を知る。

 花に置いた露に、月の光が残っている(夜明けが近いのだ)が、

 美しいふとんの中で、朝まだきの寒さに震えている。

もう戻れないのだ。

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唐・温庭筠「菩薩蛮」其十四「花間集」所収)より。

おいらももう二度と春の来ない絶望的な日々の連続。まいっております。

 

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