平成27年4月17日(金)  目次へ  前回に戻る

(ドウブツ鉄道休憩中)「ゾウを食べてはいかんゾウ」

シゴトについては冗談言っている状態ではなくなってきたぞ。「辞表」か「自○」ぐらい追い込まれてまいりました。

しかしとりあえず今日は週末なので、シゴトを離れて書きます。

ちゃてちゃて。

↓これは冗談であろうか本当であろうか。

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「山海経」海内南経によれば、チャイナの南の果てに「巴蛇」という巨大なヘビがいますそうなのジャ。

巴蛇食象、三歳而出其骨。

巴蛇、象を食らえば、三歳にしてその骨を出だす。

巴蛇は象を食う。食ってから三年かけて消化して、三年後に象の骨を排泄する。

この骨には不思議な力があって、

君子服之、無心腹之疾。

君子これを服せば心腹の疾無し。

成人男子がこの骨を(砕いて)飲むと、心臓や内臓の病気に罹らなくなる。

そうなのジャ。

其為蛇青黄赤黒、一曰黒蛇青首。

その蛇たるや青黄赤黒なり、一に曰く黒蛇にして青首なり。

このヘビの体色は青か黄色か赤か黒である。あるいは、黒ヘビであるが頭だけ青いのだ、ともいう。

―――象を食べるなんて、わはは、わはは、そんなでかいヘビがいるものか。

と嗤うひともいるかもしれませんが、わしは科学者の端くれとして

「巨大ヘビはありまぁす」

と主張せざるを得ない。

なぜなら「楚辞」天問篇にもすでに

有蛇呑象、厥大何如。  蛇有りて象を呑む、その大いさやいかん。

 象をまる呑みするヘビがいるという。いったいどれぐらいの大きさなのか。

と書いてありますし、晋の郭璞が曰うには、

今南方蚦蛇呑鹿。鹿已爛、自絞於樹腹中、骨皆穿鱗甲間出。此其類也。

今、南方の蚦蛇(ぜんだ)は鹿を呑む。鹿すでに爛れて、自ら樹に腹中を絞れば、骨みな鱗甲の間を穿ちて出づ。これその類なり。

現代(3世紀)、南部地域に棲息する蚦蛇ヘビはシカを丸のみにする。腹の中でシカが消化されてくると、自ら木に巻き付いてぎゅうぎゅうと自分の腹を絞りあげる。すると、そのヘビのうろこの間から、シカの骨だけがずぶずぶと出てきて、体外に排出されるのである。古代の巴蛇は、おそらくこのヘビの近縁種であろう。「山海経注」

と。

納得していただけましたかな?

なんと、まだ納得できない? 強情なひとジャな。では、北魏・酈道元「水経注」(葉楡河章)に曰く、

山多大蛇、名曰髯蛇、長十丈、囲七八尺。

山に大蛇多く、名づけて「髯蛇」(ぜんじゃ)という。長さ十丈、囲は七八尺あり。

このあたりの山中には大蛇が多く棲息している。「髯蛇」(あごひげヘビ)と呼ばれているんジャ。長さは二十メートル弱、直径2メートル以上ある。

このヘビは

常在樹上伺鹿獣。鹿獣過、便低頭繞之。

常に樹上に在りて鹿獣を伺う。鹿獣過ぐるに、すなわち頭を低げてこれを繞る。

いつも木の上にいて、シカが通り過ぎるのを待っている。シカが木の下を通り過ぎると、即座に頭を下げてシカに巻き付くのだ。

巻き付いたままぎゅうぎゅうと締め上げます。

シカはボキボキと骨が折れ、内臓が潰れて死んでいきますのジャ。

有頃鹿死、先濡令湿訖、便呑、頭角骨皆鑚皮出。

有頃にして鹿死すれば、まず濡して湿めし訖(おわ)らしめ、すなわち呑み、頭角、骨みな皮を鑚(き)りて出だす。

しばらくしてシカが死んでしまうと、まずその全体を舐めて湿らせ、それから「がぶり」と丸のみにします。シカの頭の角、骨は、ヘビの皮に穴を開けて排出されてくる。

丸のみにしてから消化するまでに時間がかかり、この間、このヘビは動くことができません。

山夷始見蛇不動時、便以大竹籤籤蛇頭至尾、殺而食之、以為珍異。

山夷はじめて蛇の動かざる時を見、すなわち大竹を以て蛇の頭より尾に至るまで籤籤し、殺してこれを食らいて、以て珍異と為せり。

このあたりの山中の蛮人どもは、ヘビが動けなくなっているところを見つけると、

「うひゃひゃ」

と歓び、大きな竹を採ってきて、ヘビの口から刺しこんでしっぽまで貫き串刺しを作り、これを殺して食べる。しかしてこれを「珍味」と称しているのである。

うなぎカバ焼き食いたくなってきましたね。生物には厳しい食物連鎖の現実があるのジャ。

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これだけ文献的証拠を挙げられたのでは、さすがに疑い深いみなさんでも反論はできますまい。にょろんにょろん。

←画像も遺されているのである。にょろんにょろん。

 

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