平成27年4月9日(木)  目次へ  前回に戻る

(←役に立たないやつは役に立たないモノしか入手しないように)

もうイヤだー! こんなのムリ! シゴトなんか投げ出してしまいたいー!・・・と思っていると・・・

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宋の時代、江蘇・宝応の地でのことだそうですが、

民有以嫁娶会客者。酒半、客一人竟起出門。

民、嫁娶を以て客を会する者有り。酒半ばにして客一人ついに起(た)ちて門を出づ。

ある人民の家で、嫁取りの宴会を行っていた。宴会の途中で、お客の一人がふっと立ち上がり、門から出て行った。

「おい、あいつ大丈夫か?」

主人追之、客若酔甚将赴水者、主人急持之。

主人これを追うに、客、酔い甚だしくまさに水に赴かんとする者のごとく、主人これを急に持す。

その家のあるじ、心配して追いかけたところ、その客はひどく酔っぱらっており、近くの川に身を投げようとしたので、大急ぎでこれを捕まえて、家に連れ帰った。

みなで介抱するうちにようやく正気を取り戻したので、

「いったいどうしたのだ?」

と問いかけたところ、

婦人以詩招我。

婦人、詩を以て我を招けり。

「お、おんなのひとが〜、わしに詩をうたって招いたんじゃ〜」

と言うのである。

「こんな詩だったんじゃ〜・・・

長橋直下有蘭舟、 長橋直下に蘭舟有りて、

破月衝烟任意游。 月を破り烟を衝(つ)きて任意に游ぶ。

金玉満堂何所用、 金玉堂に満つるも何の用いるところぞや、

争如年少去来休。 いかでか年少の去来休(や)むが如からん。

 大きな橋の真下に蘭の木で作った小舟があって、

 月の光の降る下、靄の中を勝手気ままに移動している。(その舟で待ってますわ。)

黄金や宝玉が家にいっぱいあっても、何の役に立てようというのかしら、

若いひとのように希望を持ってじっと待っていることなんて、もうできないでしょうに。

そこで、

倉皇就之、不知其為水也。

倉皇これに就けり、その水たるを知らざるなり。

ふらふらとその女の誘いに乗ったのじゃ、まさか水中に飛び込もうとしていたとはなあ・・・」

「いやあ、あぶなかったなあ」

「祟られているのではないか」

とみな心配したのであった。

しかしその後、

客竟亦無他。

客ついにまた他無し。

その客人に、それ以上の変わったことは起こらなかった。

やはり、

夜会説鬼

夜、会して鬼を説く

夜、みなで集まって怪談ばなしをする

ようなことは戒めねばならない。そのようなことをすれば、どうしても禍ごとが引き寄せられてくるのだから。

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宋・蘇東坡「東坡志林」巻二より。

夜中にコワいこと話していると実際にコワいことが起こる―――ように、仕事がイヤだイヤだ、と言っていると、ホントにイヤな仕事ばかり起こるものです。だけど「わーい、シゴトがツラくてうれちいなあ」とにこにこできるはずもないではないか。ああイヤだイヤだ。

 

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