平成26年10月15日(水)  目次へ  前回に戻る

新聞には載っていないけど

記念日ですが、今日もしごとツラかった。

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ツラいながらも更新します。

南海中有山、高数千里、周囲百里。

南海中に山有り、高さ数千里、周囲百里なり。

南シナ海の海中に山がある。高さが百万メートル、麓を一周ぐるりとめぐると四十キロメートルぐらいである。

一シナ里=400メートルぐらいで計算してみました。

この山では、

毎年夏月有巨蛇繳山三四匝、飲海水。

毎年夏月、巨蛇有りて山を繳(めぐ)ること三四匝(そう)にして、海水を飲む。

毎年夏の時期になると、巨大なヘビが現れて山をぐるぐると三四回も取り巻いて、かま首を延ばして海水を飲むのであった。

3〜4回取り巻くのですから、最低でも120〜160キロメートルの長さのヘビである。

これが毎年のことであったのじゃが・・・。

それはある暑い年のことじゃった。

このヘビが

一旦飲海水之次、有大魚自海中来、呑此蛇。

一旦、海水を飲むの次(とき)、大魚の海中より来たる有りて、この蛇を呑めり。

ある朝、いつもの年のように山に巻き付いて海水を飲もうとしたちょうどその時のこと、海の表面がにわかに泡立った―――と見るや、海中から巨大な巨大な魚が出てまいりまして、そのヘビにぱくりと食いつきますと、そのまま呑み込んでしまった。

ヘビは強く山に巻き付いていましたが、その山ごと魚に呑み込まれてしまったのじゃ。

その途端、

天地晦冥、久之不復見。

天地晦冥し、これを久しくしてまた見えず。

天も地も闇に閉ざされ、しばらくの間真っ暗であった。ずいぶん時間が経ってからようやく明るくなってきたが、そのときには魚もヘビも山も、何もかも無くなってしまっていた。

のじゃった。

どってんぱらりのぷう。

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巨大なスケール!とはいえ、あほみたいなお話ですね。五代・杜光庭「録異記」巻五より。

・・・と、記念日ですが、いつものような下らない、いかにも肝冷斎お得意のホラ話(でしかもしごとツラいので短いやつ)でした。御愛読ありがとうございます。

「ところで何の記念日かな?」

よく訊いてくれましたぞ。(←誰も訊いてないが)

HP肝冷斎雑志設立10周年記念なのでございます。岡本全勝さんの影響を受けてHPはじめてからあっという間に十年。それにしても、ああ、この十年の間に何人の肝冷斎が消えて行ったことか・・・。

 

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