平成23年7月23日(土)  目次へ  前回に戻る

 

どうせみなさま、土用のうなぎでも食うておられるのでしょう。わしは食いませんけどね。胃も痛いし。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

宇奈木(うなぎ)のことをシナでは鰻鱺(まんり)というのである。

この鰻鱺(まんり)は

風雨陰晦則多。

風雨にして陰晦なればすなわち多し。

風吹き雨降り、うす暗い日にはよく獲れる。

しかし、

雖有風而晴、則日曜其目垂頭而不上網。

風あれども晴るれば、すなわち日のその目を曜すれば頭を垂れて網に上らず。

風があっても晴れていると、太陽の光がウナギの目にはまぶしいので、彼らは頭を下に向けて水底にへばりついてしまい、網のかかってこないのである。

「本当ですか?」

「これは漁師(「網家」)に聞いたことであるから本当である。

可験。

験(け)みすべし。

試してみるとわかる。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

と、明・李厚徳「戒庵老人漫筆」巻五にて明言しております。本当でしょうか。験みすべし、とまで言っているのですから本当でしょう。

とすると、この数日、東京ではあまり日がささず、涼しい日が続きましたから、ウナギは減ったことでしょう。チュウゴクでたくさん捕ってきているから、ニホンの天気はどうでもいいのかな?

―――そもさん。

おまえさんは高い崖から落ちそうになっている。

ただ口で木の枝を咥えて何とかぶらさがっている。手は枝をつかむことができず、足はぶらぶらと宙に浮いたままだ。

この状況下で、誰かが崖の下から

問、西来意。

西来の意を問う。

「達磨禅師はなにゆえ西方からやってきなすったか、ご存じか。(禅の本質とは何なのであろうか)」

と質問してきた。さあ、どうする?

答えるために口を開けば、おまえさんの身ははるかな崖下に落ちてしまうぞ。

さあ、どうする? どうする?

 

表紙へ  次へ