平成21年12月14日(月)  目次へ  前回に戻る

「もうルイスは来ないんじゃぞ」

今晩は寒いですね。

唐・玄宗皇帝の時代、長安の貴族たちも寒いのはイヤでした。

そんなところへ、交趾の国(今のベトナム北部)から

進犀一株色黄如金。

犀一株の色黄にして金の如きを進む。

サイを一本――黄金色のもの――を献上してきた。

「犀」を「一株」と、植物のように数えているのは、ドウブツのサイそのものではなく、サイの角だけを「犀」と表記しているからである。献上されてきたのはサイではなく、サイの角なのである。

このサイの角、

以金盤置于殿中、暖気襲人。

金盤を以て殿中に置けば、暖気人を襲う。

黄金のお皿の上に立てて、宮殿の中に置いたところ、これから発出される暖気がひとびとを温めたのであった。

「おお、これは暖かいのう」

「おほほ、まるで春の陽だまりにいるようですわね」

と皇帝もお妃さまも大喜び。

交趾国の使者は鼻高々で、

此辟寒犀也。

これ辟寒犀(へきかんさい)なり。

これは「寒さを防ぐサイの角」という宝ものでございます。

と得意になって御紹介したものであった。

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一体どういう仕組みになっていたのかわかりませんが、五代・王仁裕「開元天宝遺事」曾端伯「類説」所収)に書いてあるのですからウソでは無いでしょう。

そういえば、明日はどこかの国の副主席が来るのでしたな。

 

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