令和2年8月5日(水)  目次へ  前回に戻る

「地球なんかぶっ壊すでカッパ!」「任せてくれカニ!!」

いつになったらおいらのような童子にも、夏休みがくるのでちょうか。

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唐の時代、浙江・東陽郡は

有山周回数百里、江水曲而環焉。迂滞舟楫、人頗病之。

山有りて周回数百里、江水曲がりて環せり。舟楫を迂滞せしめ、人すこぶるこれに病(なや)む。

ぐるりと回ると数百里(百キロメートル弱)という山があって、江の流れがこれをぐるりと回ってめぐっていた。このため、舟の航行が迂回して時間がかかるため、ひとびとはそのことにたいへん苦しんでいた。

ところが、大和年間(827〜835)のこと、敬ウというひとが知事として赴任してきたのですが、

其山一夕雲物曛晦、暴風雷電、動蕩室廬。

その山一夕、雲物曛晦(けんかい)し、暴風雷電して室廬を動蕩す。

ある晩のこと、その山に雲のような黒いものがかかって暗くなり、やがて暴風と雷電が激しく、家家を揺るがせるほどとなった。

ついには、

江水騰溢、莫不惶惑。

江水騰溢し、惶惑せざるなし。

江の水が激しく波打ってあふれ出し、おそれ惑わないひとはない有様となった。

しかし、不思議と人命に係わるような事態にはいたらず、

迨暁方霽、人往視之、已劈而中分、相遠数百歩、引江流直而貫焉。

暁に迨(およ)びてまさに霽れ、人往きてこれを視るに、已に劈(ひら)きて中分し、相遠ざかること数百歩、江流を引きて直にして貫けり。

夜明けになったころ、きれいに晴れ上がった。ひとびとが山がどうなったのかと見に行くと、なんと、すでに山が真ん中から二つに裂かれており、両方の間は1キロ近くもあって、その真ん中を江の流れがまっすぐに貫いていたのだ。

よいこのみなちゃんは、増水しているときに用水路や土砂崩れの様子を見に行ってはいけませんよ。

其環曲処悉塡以石、遂無縈繞之患。

その環曲せる処はことごとく石を以て塡(うず)まり、遂に縈繞の患無かりき。

ぐるりと江水が取り巻いていた旧河道は、すべて石によって埋まっており、もう山をぐるりと回って航行しなければならない心配はまったく無かった。

すばらしい。現実には今、長江沿岸は洪水に悩んでいるようですが。

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唐・張読「宣室志」巻五。こんなふうに一夜にしてすかっとすべてがかたづかないものでしょうかなあ。シゴトはもちろんのこと、人生の諸問題もかたづいて、永遠の夏休みが来ないかなあ。コドモには無理かなあ。

 

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