令和2年7月7日(火)  目次へ  前回に戻る

五色の短冊になんて書きましたか。

世俗を離れて山中でごろごろしているので、体重が増えてきました。さりとて世俗に戻ってシゴト探す気にはなれませんなあ。

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春秋の時代のことだそうでございますが、

客或欲見於斉桓公、請仕上官、授禄千鍾。

客、或いは斉の桓公に見(まみ)えんと欲し、請うに上官に仕え、禄千鍾を授けられんことを。

一鍾(しょう)はゲンダイの50リットルぐらい。したがって、千鍾の禄は50000リットルの穀物、日本の一石が180リットルですから、えーと、なんだ、暗算ができません。えーと、えーと、・・・280石ぐらいですか。

ある客人(遊説家)が、斉にやってきて、君主の桓公にお目通りし、

「おとのさまにお仕えして、300石どりぐらいの待遇をいただければ、と思っております」

と申し入れた。

「そうであるか」

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公以告管仲。

公、以て管仲に告ぐ。

「管仲」は字・夷吾、桓公を支えて斉を覇者にした名宰相である。

桓公はそのことを宰相の管仲さまに相談した。

「ほほう。300石どりなら、食客としてはいかにも平均的な申し出に見えます・・・が、そやつは我が国に何の功績もなく、突然やってきて平均的な待遇を要求するとは、なかなか食えませぬなあ・・・」

管仲は言った。

「そうですな、

君予之。

君これに予(あた)えよ。

「との、そやつにその禄を与えなされ。

役に立つなら安いもの、役立たずでも損にはならぬ、いい値段をつけたものでござる」

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「・・・ということで、おぬしを召し抱えることにしたぞ」

という桓公の返事を聞いた客人は、言った。

臣不仕矣。

臣、仕えず。

「申し訳ございませんが、この仕官の話、無かったことにしていただきたい」

「どういうことか」

客人答えて曰く、

臣聞取人以人者、其去人也亦用人。吾不仕矣。

臣聞く、人を取るに人を以てする者は、その人を去るやまた人を用う、と。吾仕えざるなり。

「わたくしはこのように聞いております。人を採用するのに人の意見に従うお方は、人をクビにするときも人の意見に従うものだ、と。この仕官の話、無かったことにしていただきます」

「そうであるか」

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それを聞いて、管仲は大笑いした。

「との、惜しむことはございません。そやつはおそらく自分を売り込む以外の技能は持っておりますまい。まあそのことを自分で知っている、という点では大したものじゃ、わははは」

「そうであるか、わはははは」

君臣仲良くてよかったです。おしまい。

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「管子」巻十六・小問五十二より。今日は七夕(新暦)です。一年に一度しか会えないのに、雨雲に隠されて会えないなんて、お星さま、かわいちょー。とかコドモでさえ思いませんが、星と星、男と女でさえ会うのは難しいもの、ましては君と臣が水魚のように出会えることなど、なかなか難しいことなのだそうでございます。ひとを採用するのは難しい。

 

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