令和2年3月29日(日)  目次へ  前回に戻る

いつだって誰かの役に立ちたい、と夢見ているのだけどメ―。

また明日から平日。電車に乗って出かけなくては。

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みなさん大変だと思います。なにか役に立ちたいんですが、わたしも貧乏なんでどうしてやることもできない・・・。

いや、しかし、

士君子貧不能済物者、遇人痴迷処、出一言、提醒之。

士君子の貧にして物を済(すく)うあたわざる者は、人の痴迷の処に遇いては、一言を出だしてこれを提醒せよ。

知識人たるもの、貧乏で人を救うことができないというときには、誰かがおろおろと悩んでいるところに出会ったら、一言言って、目を覚まさせてやるがいい。

遇人急難処、出一言、解救之。

人の急難の処に遇いては、一言を出だしてこれを解救せよ。

誰かがのっぴきならず追い詰められているところに出会ったら、一言言って、救い出してやるがいい。

と申します。そういう「一言」を腹の中に蓄えておかなければならん。それを蓄えているのが、ほんとうの「知識人」というものなのじゃ。

「一言」でひとを救済してやれたら、

亦是無量功徳。

またこれ、無量の功徳なり。

それもまた計り知れないほどの徳を積んだと評価されるであろう。

もちろん、評価してくれるのは、現世のひとではありませんよ。

・・・ということで、今日の「一言」を申し上げておきます。

事有急之不白者。寛之或自明。毋躁急以速其忿。

事の、これを急にすれば白(あきら)かならざるもの有り。これを寛くすれば或いは自ずから明らかならん。躁急にしてその忿りを速(まね)くことなかれ。

物事には、厳しく対処すると、裏に隠れてしまってよくわからなくなってしまうことがある。ゆったりやれば、もしかしたらおのずと明らかになるかもしれんぞ。いずれにせよ、大騒ぎして厳しくすると、相手が逆切れして怒って来ることがあるから、要注意じゃ。

人有操之不従者。縦之或自化。毋操切以益其頑。

人の、これを操らんとすれば従わざるもの有り。これをほしいままにすれば或いは自ずから化せん。操切にして以てその頑くななるを益すことなかれ。

人間には、こいつをこうしてやろうと干渉すると、却って反発して逆向きにやりはじめるやつがいる。放っておくと、もしかしたら勝手にいうことを聞くかも知れんぞ。いずれにせよ、細かいことまで干渉すると、どんどんかたくなになってしまうやつがいるから、要注意じゃ。

放っておけばいい、というわけではないんですが、放っておくしかないやつもいる。強制より自粛を要請する方がよい場合もあるのである。

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「酔古堂剣掃」巻四「霊」篇より。しかし、出勤については、雇用者が出勤しろ、というと出勤するしかないのじゃ。地下鉄やJRに乗ると、テレワークのお奨め放送がなされているのですが、「テレワーク導入するよ」と判断する側のひとは、あんまり通勤電車には乗ってないと思います。

 

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