平成32年1月22日(水)  目次へ  前回に戻る

くるくる忍者だ! ・・・と言っても誰も知りませんよね。ああ、もうおれの時代も終わりか・・・。

もうダメだ。現世から去っていこうと思います。その前に、若い世代に生きるためのノウハウだけでも伝えていきたいものだが・・・。

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受験シーズンに必須の「小論文」の書き方をご紹介しましょう。

この間、

偶見王懋公論古文作論之法。

たまたま王懋公(ぼうこう)の古文作論の法を論ずるを見る。

偶然、王懋公の「漢代風小論文の書き方」について論じた文を見つけて、読んでみた。

王懋公(功とも)は清代の通俗作家・金聖嘆が高く評価した文章家で「才子古文」という本を書いています。ただし、それ以上の伝記が明らかでなく、科挙試験を受けたが地方試験にも合格していない「諸生」(地方学校の生徒)として終わったひとらしく、要するに権威の無い民間の人だ。わはは。(清代の読書人としては)大したことないぞ。

その王懋公のいうところでは、

一曰鼠頭。欲精而鋭。

一に曰く、鼠頭。精にして鋭なるを欲す。

最初は「ネズミのアタマ」。細かく鋭いことから書き出すこと。

一曰豕項。欲肥而縮。

一に曰く、豕項。肥にして縮なるを欲す。

その次の書き足しは「イノシシの首」。話を広げて太らせて、しかし短く切り詰めて。

一曰牛腹。欲壮而大。

一に曰く、牛腹。壮にして大なるを欲す。

その次の本論は、「ウシの腹」。荘厳に、でっかくいこう。

一曰蜂尾。欲尖而峭。

一に曰く、蜂尾。尖にして峭なるを欲す。

最後の締めくくりは、「ハチのおしり」。とんがってきびしく刺しておしまい。

わあっはっはっはっはっは。

おいおい、民間人さんよ、笑わせてくれるなよ。

真令人噴飯。

真に人をして噴飯せしむ。

これは、口の中にメシを含んでいるときに聞いたら、「ぶふー」と噴き出してしまうような、可笑しい理論だなあ。

・・・と思ったんですが、

王阮亭論文与楽府亦採其説。

王阮亭の文と楽府を論ずるにもまたその説を採る。

王阮亭は、漁洋先生・王士禎(1634〜1711)で、信初の大詩人にして大学者です。大権威である。

王阮亭さまが、文章と歌曲について論じている文でも、上記の説を採用していた。

むむむ。阮亭先生のようなえらい方が・・・

吾所不解。

吾の解かざるところなり。

どうもわしにはよくわからんことじゃわい。

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清・阮癸生「茶余客話」巻十より。剥き出しの権威主義が素直でよろしい。爽やかな感じさえします。阮亭先生ご推薦なのだから、科挙試験でも大丈夫だ。高校受験や大学受験その他の受験生のみなさん、参考にしてください。

 

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