平成30年6月24日(日)  目次へ  前回に戻る

翼竜である。また彼に騎ることもあるだろう。いつかすべてから自由になった日に。

うわー。日曜日終わり。今日はいい日だったけど、今日がいい日であればあるほど明日がツラいではありませんか。

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後漢の陳蕃、字・仲挙は少年時代から大志を懐いていた。

ある日、庭先の掃除を言いつけられてもサボっていたので、叱られた。すると、

大丈夫当爲国家掃天下。

大丈夫、まさに国家のために天下を掃うべし。

「おいらは大人になったら、国家のために天下の大掃除をしてあげまちゅんでちゅからね!」

と言い訳したという。

大人になってからは、外戚や宦官たちの権力の中で正義を貫き、

言爲士則、行為世範。登車攬轡、有澄清天下之志。

言は士の則たり、行いは世の範たり。車に登り轡(ひ)を攬(と)れば、天下を澄清せんとの志有り。

そのコトバは士人たちの決まりコトバとなり、その行動は世間の模範とされた。馬車に乗って手綱(政権)をとったときには、天下を清らかにしてやろうという志を持っていたのである。

なお、「士」といいますのは、本来、

士農工商、四民有業、学以居位曰士。

士農工商、四民業有るに、学以て位に居るを士と曰うなり。

士・農・工・商の四種類の民にはそれぞれにシゴトがある。この中で、学問によって地位に就いている者を「士」というのである。

なんだそうです(「漢書」食貨志上)。このHPはホントに勉強になりますね。

その陳蕃が予章の太守となったとき、

至、便問徐孺子所在、欲先看之。

至るに、すなわち徐孺子の所在を問い、まずこれを看んとす。

徐孺子とは、徐稚、字・孺子、予章の隠者である。

赴任するや、すぐに徐稚の住所を問い、とにかくまず彼に会おうとした。

「なりませんぞ」

主簿曰、群情欲府君先入廨。

主簿曰く、「群情、府君はまず廨(げ)に入らんことを欲せり」と、

主簿(総務部長)が言った。

「みんな、太守さまにはまずは官舎にお入りいただき、御休息いただきたいと思っておりますぞ」

まずは地元の有力者と面接し宴会をするのが例であった。

「いやいや」

陳蕃は言った、

武王式商容之閭。席不暇暖。

武王、商容の閭に式(いた)る。席、暖まるに暇あらず。

「周の武王は、(殷に勝利するとすぐに)殷の遺賢・商容が隠れ棲む路地裏に行って面会したという。座布団が暖まる間も座っていなかったというではないか」

「はあ」

吾之礼賢、有何不可。

吾の賢に礼するも、何ぞ不可なる有らん。

「わしレベルの者が、賢者に礼を尽くして会おうとしたって全く問題がない」

と言いまして、徐稚の家に出かけたのであった。

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「世説新語」徳行第一より。「世説新語」の開巻劈頭最初のエピソードです。掃除をサボるのはすばらしいが、宴会もせずにシゴトするのはツラい・・・ということは無かったのであろうか。

それにしてももう今日は終わり。明日はツラい。

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