平成30年4月6日(金)  目次へ  前回に戻る

ぶたが左手に持っているのは綿菓子ではなくて桜の花なんです。それにしても桜の花は、あっという間にどこかに飛び去って行ってしまったなあ。パンドラの箱の中にあったという「希望」のように・・・。

今日は複数の大失敗をしでかす。来週以降問題化して大々的に噴き出してくるであろう。なんとかしてあと二日のうちに行方をくらますか、逆に世界の方が滅んでもらわないとエラいことになるぞー。

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明の時代のことだそうですが、かつて広東の博羅県城外に飛来寺というお寺があった。

寺僧の貞俊禅師というひとが、遷化(←高僧の死のこと)の直前に、弟子の僧侶たちを集めて言った―――

此寺飛来、終当飛去耳。

この寺飛来す、ついに飛去すべきのみ。

「この寺はむかしどこかから飛んで来たのじゃ。だから、いつかは飛び去って行くであろう」

はあ?

このひと、何言うてはるの? 大丈夫か?

というような信じられないコトバであったが、禅師の死後、

忽一夕、天呼地吼。

たちまち一夕、天呼ばい地吼ゆ。

ある晩、突然、天からも地からも激しい物音が聞こえはじめた。

そして、

殿宇揺動、遂為暴雷抜去、蕩然無有遺者、僅存東南一角而已。

殿宇揺動し、ついに暴雷に抜去せられ、蕩然として遺さるもの有る無く、僅かに東南の一角を存するのみとなる。

建物が揺れ動きはじめ、やがてついに激しい雷鳴とともに地面から抜き去られて、どこかに飛んで行ってしまったのだ。すっかりなくなって残っているものはなく、わずかに東南の角の部分があるだけであった。

不思議なことに建物だけが運ばれて行ったので、

僧倶露立、相顧莫測。果契禅師之讖矣。

僧らともに露立し、相顧みて測るなし。果たして禅師の讖の契するなり。

住僧らは突然建物が無くなって、空の下に立ったまま、お互いを顧みて、何が起こったのかわからないありさまであった。かくして禅師の予言が的中したのである。

あるひとの説では

当有巨蟒大蜃之属長養於中、竟載此寺而之他国、未可知。

まさに巨蟒・大蜃の属、長く中に養わるる有りて、ついに此の寺を載せて他国に之(ゆ)くなるべし、というも、いまだ知るべからず。

おそらくヘビとかハマグリの巨大なやつが、寺の中で長く養わてていたのではないか(禅師はそのことを知っていたのであろう)。この巨大なやつが霊力を得て、ついに寺を載せたままどこか遠い国に飛んで行ったのだ、というのであるが、現在に至るまで確認ができていない。

その後、方明上人慧素というひとが寺の再建を試みたが、結局寄付金が集まらずに断念した、ということである。

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明・銭希言「獪園」第六より。おいらも巨大なヘビやハマグリに乗っかって、どこか遠くに行ってしまいたい。いや、行ってしまわねばならぬ状態であるのだ。

なお、類似参考事案としてこちらを読んでみてください。これと同じお寺ではなさそうですが、広東にはこんなお寺がたくさんあるのか。ところで、このときも金曜日にどかんと来ていたみたいですね。2年以上前だと先々代の肝冷斎かな。

 

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