平成30年3月6日(火)  目次へ  前回に戻る

ドウブツ世界で大人気にぶたパン。大量生産のため安価であり、一皿10個で10円程度である。人間世界もこのような食糧事情であればいいのだが、そうもいかないこともある。

今日もなんとか一日が終わりました。明日またいろいろある・・・しかし明日が終わってもまだ今週三日しか経ってないのである。まいった。もうダメだ。

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なんかすかっとした話ないかなあ・・・・・・。

明の宣徳癸丑年(1433)のこと、浙江一帯は日照りに苦しんでおりましたそうな。

郡守の況伯律はついに評判の高い民間の術士・張皮雀を呼んで雨乞いをしてもらうことにした。

張皮雀、一つ注文をつけました。すなわち、

「浙江三呉地方の道観の道士たちはどうしたことでございましょう。雨を呼ぶぐらいのことができないとは、怪しからんことですなあ。

須道流舁吾往。

道流、吾が往くを舁くべし。

わたしがそちらに行きます際には、彼ら道観の道士たちにかごを舁かせていただきたいのですが」

この道士たちは官立の道観に所属して、給料をもらっているのです。本来人民のために祈るのは彼らのシゴトであるはずだが・・・。

況郡守は

「わかった。わかったが、これから道士たちに根回しするのも大変である。

俟有雨、当舁而還。

雨の有るを俟(ま)ちて、まさに舁きて還るべし。

とりあえず来てもらって、雨が降ったら、帰りにはそいつらにかごを舁かせて帰っていただこう」

張曰く、

諾。

諾せり。

「りょうかいです」

到着すると、その翌日には、早速、義役倉(凶作時用の穀物を貯えておく蔵)の広場に役人がたが居並ぶ前で、雨乞いを始めてもらうことになった。

ところが、

張索酒数十缾、飲尽、鼾臥。

張は酒数十缾(へい)を索(もと)め、飲み尽くして、鼾して臥す。

張は数十甕の酒を用意させると、それを全部ひとりで飲み尽してしまい、なんと、イビキをかいて寝てしまったのである。

そのまま何時間か待ったが、いつまで経っても

天無繊翳。

天に繊翳無し。

空にはひとすじの雲も見えない。

雨の気配などまったくない。

「なんということじゃ」「けしからん」「ぶーぶー」

衆嘩欲散。

衆、嘩(さわ)ぎて散ぜんと欲す。

詰めかけたひとたちはぶうぶう騒いで、解散しようとした。

すると、

張欠伸、索鏡。鏡至、以墨塗鏡、而虚其中。

張、欠伸して鏡を索む。鏡至りて、墨を以て鏡を塗りてその中を虚にす。

張はあくびして起きだし、「鏡はありませんかな」と鏡を求めた。吏員が鏡を持ってやってくると、墨を磨って筆に含ませ、鏡の周囲がくろぐろと墨を塗って、まん中だけそのままにしたのであった。

「なにをやっとるんだ、あいつは・・・」

と見る間に、

天亦黒雲四布、惟中天露日。

天また黒雲四布し、中天のみ日を露わす。

空が突然曇り出して、(鏡のように)周囲四方は黒雲で真っ黒になったが、空の真ん中の太陽の周りだけは晴れているという状態になった。

驚いている郡守に向かって、張は言った。

是無難、俾道官塗之。

これ難無し、道官をしてこれを塗らしめよ。

「もう難しいことは何もございません。こちらの官立道士たちにこの真ん中のところを黒く塗らせてやってください」

「いやいや」

守懇請。

守、懇請す。

郡守は、張にぜひ塗ってくれるよう懇願した。

張握筆一塗満鏡、雲亦忽合、電掣霆飛、雨如建瓴。

張、握筆してひとたび塗りて鏡を満たすに、雲また忽ちに合し、電掣し霆飛び、雨は瓴(かめ)を建つるがごとし。

張は筆を握り、一筆塗って鏡面全体を黒くした―――その瞬間、空も雲ですべて覆われ、いなずまが飛び、雷鳴がとどろき、まるでカメを立てたかのように激しい雨が降り始めた。

雨はしばらく降り続けた。(世界には、豪雨のことを「イヌとネコが降ってくるようだ」という地方もあるそうですが、「カメを立てたようだ」という言い方もあるんですなあ。)

踰時、守焚香告足、張拭鏡、雨尋止。

踰時、守、香を焚きて足れるを告ぐるに、張、鏡を拭けば雨ついで止まる。

だいぶんしてから、郡守は香を焚いておごそかに感謝しながら「これで十分でございます」と伝えると、張は鏡面の墨を拭きとった。すると、雨はぴたりと止まった。

数呼吸のうちに空は晴れ上がり、日光が降り注いでまいりました。

守遣道流舁張還、贈以厚幣、不納。

守、道流をして張の還るを舁かしめ、贈るに厚幣を以てするも、納(い)れず。

郡守は約束どおり郡の道士たちに命じて張のかごを舁かせて帰らせた。合わせて厖大な礼金を贈ったのであるが、こちらの方は張の受け取るところとならなかった。

そうでございます。

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明・劉忭等「続耳譚」巻六より。あー、すっきりした。何がすっきりしたといって、半年ぶりにこのときの約束?が果たせたのである。これで思い残すことがまた一つ減ったので、いつでも現世から逃亡できるなあ。

 

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