平成29年12月25日(月)  目次へ  前回に戻る

あまりにも時速の遅いモグタクシー。歩行者にもどんどん追い抜かれていく。本当はみんなで引っ張ってやらないといけないのであろう。

月曜日です。仕事あって疲れた。

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南宋・淳熙十六年(1189)の冬のことでございます。

わたしは用務のため、船に乗って、

晩発丹陽館下、五更至丹陽県。

晩に丹陽館の下を発し、五更に丹陽県に至りぬ。

夕刻、首府・建業にある丹陽館の下の船着き場を出、大運河を北上して、明け方近く、丹陽県に到着した。

まだ旅程は長いのであるが、今日はここで一泊する。

大運河を、船は帆をあげたり櫓を漕いで進むわけではなく、多くの人夫が岸から牽いていくのである。

だから、今夜は、

舟人及牽夫終夕有声、蓋謳吟嘯謔以相其労者。

舟人と牽夫と終夕声有り、けだし謳吟し嘯謔を以てその労者を相(たす)く。

船員と牽引人夫とは、一晩中声を出し合っていた。要するにそれは、歌をうたい、からかい合って、その仕事が楽になるようにしていたのである。

しもじもたちのコトバであるから、なかなかわかりにくいのであるが、

其辞亦略可弁。

その辞、またほぼ弁ずべし。

歌詞はなんとかだいたい理解できた。

そのうたにいう、

張歌歌、李歌歌、 張歌歌(かか)、李歌歌(かか)、

大家着力斉一拖。 大家着力、斉(ひと)しく一拖(た)せよ。

「歌歌」は「哥哥」(かか)と同じで、「にいさん」の意。「拖」は「曳く」。

張のにいさん、李のにいさん、みんな力合わせてもうひと引きだーア。

またいう、

一休休、二休休、 一休休、二休休、

月子彎彎照幾州。 月子彎彎(わんわん)として幾州を照らさん。

ひとやすみ、ふたやすみ、お月さままんまる、いくつの国照らすーウ。

其声凄婉、一唱衆和。

その声凄婉、ひとり唱いて衆和せり。

その歌声は心に沁み入り、一人がまず歌って、みんながそれを復唱するのであった。

わたしも感じ入って、作ったうた。

月子彎彎照幾州、 月子彎彎として幾州を照らす、

幾家歓楽幾家愁。 幾家か歓楽し幾家か愁えん。

愁殺人来関月事、 人を愁殺すも来たりて月の事に関せんや、

得休休処且休休。 休休を得る処、しばらく休休せよ。

 お月さままんまる、いくつの国照らす、

 いくつの家楽しみ、いくつの家悲しむ、

 ひとが悲しくても、お月さんは知らぬ、

 休めるときには、ひと休みしよ。

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宋・誠斎・楊万里「竹枝歌有序」竹枝歌、序有り)より。ほんとは七首あるんですが一首だけ訳しました。めんどくさいから。

おいらも「休めるときにはひと休みしよ」と行きたいところなのだが、そういうのイヤなひともいるみたいなんです・・・。

 

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