平成29年11月7日(火)  目次へ  前回に戻る

どんどん態度のでかくなる巨大ニワトリ。ついに自分は宇宙から来た高度な科学力を持つニワトリ星人だと言い出す。

眠いのに出勤。なんとか帰ってまいりました。明日こそムリか。本当にちっぽけなニンゲンになってしまったものだぜ。

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ちっぽけになるのはニンゲンだけではないんです。

天復十年(※天復は唐の昭宗の時の年号だが、その四年、全権を握った朱全忠によって天祐と改元し昭宗が廃されて哀宗が立った。しかし朱全忠に異を唱えた地域ではそのまま天復の年号を使っていた。天復十年は908年に該たる)の夏、越の王山のふもとの昭仙観(「観」は道教のお寺)の前に、

霣石、有声如雷、光彩五色、闊十丈、袁吉江洪四州之界皆見光聞声。

石霣(お)ち、声有りて雷の如く、光彩五色、闊さ十丈、袁・吉・江・洪四州の界、みな光を見、声を聞けり。

隕石があった。雷鳴のようなすごい音がし、五色の光が地面に三十メートルほど広がっていた。周辺の袁州、吉州、江州、洪州の境界付近では、どこからもその光が見られ、音が聞こえたのである。

隕石の落ちた昭仙観の門前はしばらくこの五色の光に覆われていたのですが、

五色烟霧経月而散、有石長七八尺、囲三尺余、清碧如玉、堕於地上。

五色の烟霧、月を経て散ずるに、石の長さ七八尺、囲三尺余、清碧玉の如きもの、地上に堕つる有り。

五色のガス状の気体が一か月ほどして稀薄になり、そこには高さ2〜2.5メートル、周囲1メートルぐらいの、青くピカピカと玉のように輝く石が、落ちていた。

管轄の節度使・劉威の命によって、石は

舁入昭仙観内、設斎祈謝。七日之内、石稍小長三尺。又斎数日石長尺余。

昭仙観の内に舁入され、斎を設けて祈謝す。七日の内に、石やや小さくなりて長さ三尺。また斎すること数日にして石の長さ尺余なり。

昭仙観の中に担ぎ入れられ、そこに祭壇を設けて祀られて、道士たちに祈りを捧げさせた。すると、七日のうちにどんどん小さくなって1メートル余りの高さになった。さらに数日祈祷を続けると、石の長さは30センチちょっとまで縮んでしまった。

五代の戦乱が終わり、北宋の世の中になった十世紀後半の今日、

只及七八寸留在観内。

ただ七八寸に及ぶも、留めて観内に在り。

もう20〜25センチぐらいまで縮んでいるが、今も昭仙観の中に置かれているのである。

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五代・杜光庭「録異記」巻七より。だんだん縮み方が小さくなってきていますが、さらに1,000年以上を経過した二十一世紀の現在、5センチぐらいになってしまってもう他の石と見分けがつかないのではないか、と思われます。

ああ、石でさえ小さくまとまってしまう世の中なのだ、ニンゲンが小さくならないはずはないであろう。おいらは今ではぶたですが。

 

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