平成29年10月10日(火)  目次へ  前回に戻る

この三者の中には、まちがっても高い能力を持つ者はいそうにはない。(カメラ故障のため、今日も以前の絵を使い回しているのである。)

今日のシゴトは終わったー! ところが明日からまた・・・。おいらはぶただから出勤しませんけど。

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明の時代のことである。

李福達(→こちらを参照。なつかしい)さまが揚州の太湖に配下を乗せて船で渡っていたときのこと、

蛟挟其舟、風大作。

蛟その舟を挟み、風大いに作(おこ)れり。

水龍が二匹現れて福達の乗った舟を両側から挟みこみ、強い風で舟をあおった。

明らかに福達が術士であることを認識して、その行動を封じ込めるために、勝負を挑んできたのである。

「このわしに勝負を挑むとは、怪しからんというよりは、哀れである」

福達はにやにやと笑い、

「えい!」

と背負っている宝剣を抜いて、放り投げた。

飛剣湖中斬蛟。

剣を湖中に飛ばして蛟を斬らんとす。

投げられた剣は湖の水中に潜って、水龍を斬り裂こうとした。

剣は再び水上に飛び上がり、くるりと向きを変えて福達の手の中に戻った。

福達が剣を鞘に収めたかどうかという時に、

見一蛟死、浮出水面。湖水尽赤。

一蛟の死にて水面に浮き出づるを見る。湖水ことごとく赤し。

一匹の水龍が死んで水面に腹を見せて浮かび上がってきた。水龍の血で、湖の水面は一帯に真っ赤に染まった。

もう一匹の水龍は逃げ出したようである。

「この程度の能力でわしに勝負を挑むとは愚かな水龍たちであったなあ・・・」

と福達は呆れたような顔をしていたが、やがて

命庖人取而鮓之。

庖人に命じて、取りてこれを鮓せしめたり。

舟に乗っていた料理人に命じて、浮かんだ水龍の死骸を引き揚げさせ、これを酢漬けにさせた。

上海に着いてから、この水龍の寿司をあちこちに贈り物にして、その名を高からしめたということである。

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明・銭希言「獪園」巻二李福達伝説全十三話のやっと二話目です。二年ぶりで思い出したのである。それにしても第一話を訳したころはまだ「コドモ肝冷斎」の全盛期だったんだなあ。今はコドモ肝冷斎も絶滅して昆虫やぶた肝冷斎まで落ちぶれているのでぶー。なお、この記録のおかげで、水龍の血が赤いこと、寿司にしても食べられることがわかりました。また、弱者が強者に挑んではならないことも・・・。

 

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