平成29年4月12日(水)  目次へ  前回に戻る

「耳を剃るとさっぱりするのう」とぶた僧侶。さわやかな春風が吹いていた。

夜、ちらりと雨降ってきて寒かった。まだ薄着できるような季節ではない。

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唐の時代のことでございます。

ある僧が長沙景岑禅師に問うた。

有人問和尚、即随因縁答。無人問和尚時如何。

人の和尚に問う有れば、即ち因縁に随いて答えん。人の和尚に問う無きときは如何。

「和尚さまは、誰かが質問したときには、そのときそのときに対応してお答えしておられます。しかし、誰も質問しないときには、いったい何をしておられるのですか」

禅師答えて曰く、

困則睡、健則起。

困ずれば睡り、健なれば起つ。

「調子が悪いときは眠っておる。調子が良ければ起きておるよ」

僧はまた訊ねた。

教学人作么生会。

学人をしていかにか会(え)せしむ。

「わたしどもにも理解できるように、どのように教えいただけますか」

禅師答えて曰く、

夏天赤骨力、冬寒須得被。

夏天には赤骨に力(つと)め、冬寒にはすべからく被を得ん。

「夏の日には赤はだかで暮らし、冬の寒さには何か着るものを身に着けるべきじゃな」

自然にしたがって、あるがままに生きよ、というようなことなのであろう。

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「五燈会元」巻四より。

ということで寒いので、まだはだかでは暮らせません。

 

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