平成29年1月4日(水)  目次へ  前回に戻る

左図は夜明け前にうごめき出したドウブツたちの姿である。ドウブツは夜明け前になると、うごめき騒ぎ出すというから、ライオンもそうかも知れない。

今日は驚きました。「辞めますメール」出したはずなのに「そんなメール来てないから早く出勤しろ」と電話が来たのです。「辞めますメール」を職場の自分のアドレスに向けて出していたので、上司の目には触れなかったらしい。

おまけに、尊敬する岡本全勝さんに、なんとあろうことかウソの住所を教えてあったので、「年賀状出したのに還ってきたやないか」とお叱りが。これはもはや致命傷、あるいはラストストローか。失敗続きの人生であったのだ。

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人生を見直すことにします。

五代のころ、福建・漳州に住した龍渓懐嶽禅師にお話を聞きますよ。禅師は唐末の名僧・雪峯義存の嗣法の弟子であります。

@ 守古冢鬼

問)十二時中如何行履。

十二時中、如何ぞ行履せん。

一日(十二刻)の間、どのように行動すればよろしいものでしょうか。

答)動即死。

動けば即ち死す。

動いたら、即死するぞ!

問)不動時如何。

動かざる時は如何せん。

わかりました。ところで、動かないでいるときは、どんなふうにしていればいいのですか。

答)猶是守古冢鬼。

これ守古冢の鬼のごとかれ。

古いお墓から離れることができず、ずっとそこを守っている地縛霊のようにしていなさい。(座禅でもしていろ)

A  万里一片雲

問)牛頭未見四祖時如何。

牛頭のいまだ四祖に見(まみ)えざる時、如何。

「牛頭」は法融禅師、「四祖」はその先生であった道信禅師のこと。五代の時代より四世紀ぐらい前の人たちです。

牛頭法融禅師さまが、四祖道信禅師さまに面会される前は、どんな精神状態だったんでしょうか。

答)万里一片雲。

万里に一片の雲あり。

見渡す限りの大空にただ一ひらの雲だけがある―――そんな状態じゃな。

問)見後如何。

見ゆる後は如何。

面会されたあとのおキモチはどうだったんでしょうか。

答)廓落地。

廓落地(かくらくち)たり。

(一ひらの雲も無くなって、)からっぽに。

B  獅子在窟

問)獅子在窟時如何。

獅子の窟に在る時は如何。

(ほとけさまのことをライオンに喩えますが)ライオンが巣穴にいるときはどんな感じなんでしょうね。

答)獅子是什么家具。

獅子はこれいかなる家具ぞ。

ライオン? それはどういう家具なのかな。(家具のように黙然としているのだ)

問)獅子出窟時如何。

獅子の窟を出づる時は如何。

ライオンが巣穴を出てきたときはどんな感じなんでしょうね。

答)獅子在什么処。

獅子はいかなる処に在りや。

ライオンがどこにいるんだって?(風のように自由なのだ)

C  言訖告寂

師、上堂示衆曰、山僧十二年来挙提宗教、諸人怪我什么処。若要所三経五倫、此去開元寺咫尺。

師、上堂して衆に示して曰く、「山僧は十二年来宗教を挙提するも、諸人怪しむ、我のいかなる処なるやを。もし要(もと)むるところ三経五倫ならば、ここ開元寺を去ること咫尺なり。

禅師が、堂に来て、衆僧らに説教した。

「拙僧がこの寺に来てからもう十二年、ずっと禅の教義を提示してきたのに、諸君らはいつもわしが何をしているのか不思議がってきた。もし経典や戒律の話を聞きたいのなら、すぐ近くに開元寺という立派なお寺がありますよ―――」

と、

言訖告寂。

言い訖(おわ)りて寂を告ぐ。

言い終わったときには、死んでいた。

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「景徳伝燈録」巻十八より。

うーん、死んでしまいましたね。

 

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