平成28年11月6日(日)  目次へ  前回に戻る

貨幣制度のないカッパ社会では自販機は取り放題である。このためカッパの多くは太っている。

今日もいい天気で晴れていましたなあ。

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「晴天」(晴れた日のうた)

事物循環原有定、 事物の循環、原(もと)より定め有りて、 

雨天之後必晴天。 雨天の後は必ず晴天あり。

 ものごとがぐるぐるまわっていくのは世界の決まりでありますから、

 雨ふりのあとには必ず晴れた日が来るんです。

今日は長雨が止んで、空は晴れ渡った。

片時宇宙解淋服、 片時に宇宙は淋服を解き、

万里山河晒錦氈。 万里の山河、錦氈を晒せり。

 あっという間に宇宙全体、濡れそぼった服を脱いだようで、

 万里の果てまで山も河も錦のカーペットを乾かしているみたいである。

日暖風清花帯笑、 日暖かにして風清く、花は笑いを帯び、

樹高枝潤鳥争言。 樹は高く枝潤いて、鳥は争言す。

 日はぽかぽかと暖かく、風はすがすがしく、花はほんのり笑いほころび、

 木は高くてその枝は潤い、そこに鳥が争うように鳴いている。

大自然も力を取り戻したのだ。わしも元気になった。やる気出てきた。

人和万物都興奮。 人と万物と、すべて興り奮いぬ。

苦尽甘来理自然。 苦尽くれば甘来たるは理(ことわり)自然なり。

 ニンゲンもその他のすべてのものも、みんなうはうはと機嫌よくなった。

 「苦味のはてには甘味がある」というコトワザは、ほんとにそのとおりだなあ。

―――これは、ある革命家が一年余の未決拘禁の状態を終えて、広西・柳州で釈放されたときの詩だそうです。時に1943年9月10日、そのひとの名は胡志明(ホ・チミン)。このころは阮愛国と名乗っていたというが、彼は1890年生まれで、このときすでに五十代半ばに差し掛かっていたのでございますが、この獄中生活は飯を食わせてくれないので、栄養失調で失明状態になっていたという。かすむ目で見つめる南の山なみの向こう、故国での侵略者たちとの彼の長い長い戦いは、まだこれからのことなのでございました。

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越南・胡志明「獄中日記」川本邦衛「ホー・チ・ミンの詩と日記」1970朝日新聞社刊(←おいらこんな本も持ってるんですよ。羨ましいでしょう。わっはっはっは)所収)より。

「苦尽甘来」(越南語で「こ・たん・かむ・らい」と読むそうです)はヴィエトナムびとが好んで口にする言い回しだそうです。「苦」は「甘」の対語でつかわれているので、「苦しみ」でなく「苦さ」と読まねばならぬのだと思われます。

・・・とエラそうにトクトクと述べたが、明日からまた平日じゃ。はやく金曜日ごろが来て「苦尽きて甘来たる」とほほ笑めるときを思いつつ、敗残のわしらは地下に潜らねばならぬ。

 

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