平成27年6月12日(金)  目次へ  前回に戻る

お出かけ時には戸締りきちんとニャ。

週末です。本日はむかしの同僚と同窓会。いろいろ個別に問題もあったに相違ないが、総じて楽しかった。

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浙江・呉県の平江府の読書人に王大卞(おう・だいべん)というひとがあった。律儀であったが礼儀知らずで、うだつも上がらず、

家貧既卒。

家貧にして既に卒す。

その家は貧しかったが、とうとう死んでしまった。

葬儀の金も遺されていなかったらしい。

其友周逸卿、為率平日交遊、裒金作設冥仏事。

その友・周逸卿、平日の交遊に率(した)がうがために、金を裒(あつ)めて冥仏の事を作設す。

その友人の周逸卿が、(彼もまた貧しかったが)生前の普段からの友情にしたがって、決して豊かでない知人たちからお金を募り、葬儀を行ってやった。

葬儀が終わると、逸卿は所用があって出かけることになり、

「今晩は帰らないから」

嘱其家謹扃鑰。

その家に嘱して扃鑰(けいやく)を謹ましむ。

女房子供に、夜になったら門のかんぬきとカギをしっかりかけておくように命じた。

・・・さて、その晩。

外門轟然自開、若有人直入、連呼逸卿。

外門轟然として自ずから開き、人の直入する有るがごとく、逸卿を連呼す。

表門が突然音を立てて自動的に開き、そこからひとがずかずかと入ってくる気配がして、「逸卿、逸卿はいるか?」と、何度も呼ぶのであった。

家人ら息をひそめていると、その声は

大卞専来奉謝。

大卞、専ら来たりて奉謝すなり。

「わしは王大卞じゃ。とりあえずお礼を言いに来た!」

と呼ばわった。

「王大卞どのですって?」

家人驚遽出視、但門已闢、閽無他覩。

家人驚きて遽かに出でて視るに、ただ門のすでに闢(ひら)かるのみにて、閽(こん)として他に覩る無かりき。

周の女房は驚いてすぐに家から出てみた・・・が、かんぬきをしっかりかけたはずの門は開かれていたが、あとは真っ暗で何ものの姿も見えなかった。

ということである。

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と、いうふうに御挨拶に訪れるかも知れません。今日お会いした仲間のみなさんのところには(岡本全勝さんの姿も見かけましたヨ)。もし葬儀の面倒とか見てもらったら、ですが・・・。

宋・郭彖「睽車志」巻二より。

 

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