平成26年10月7日(火)  目次へ  前回に戻る

 

弾圧がじょうだんではなく厳しくなってきております。

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さて問題! これはある県の県民性について述べた文章です。

当国の風俗は無体無法の事のみ多く、ただ気の尖(するど)なるに任せて、おのれが理とみるときは、非というひとありといへども、かつて用いず、ただその理非は第二にしてその談ずる人と口論に及び、終(つい)に討ち果たすの類なる風なり。

この国のお国ぶりは、形にもなっておらず決まりも無いようなやり方ばかり多くて、ただ心意気が「するどい」のに任せて、自分の方が正しいと思い込んだら、「いや、おまえの方が間違っている」と言うひとがあっても聴き耳もたずに、とにかく正しいか間違っているかなどは大した問題ではない、とばかりに、相手がたと喧嘩公論をして、最終的には殺し合いにまで発展してしまうような、そんな感じである。

かなり険悪そうですね。

誠に偏卑(へんぴ)の浅ましき事、人倫の道理を知らざること、歎くべきところなり。ただ死するを以て善とする事、危ふき風俗恐るべし。

まことに田舎で賤しいやつらの浅はかなやり方で、ニンゲンとしての道理を知らないのであるから歎くべきことである。ただただ死ぬことがいいことなのだ、という点など、危険な国ぶりで恐ろしいことである。

恐ろしいとまでいわれております。

当国の風土、海浜多く、又山中深き大国なり。尤も暖気多し。

この国の地理気候は、海岸線が長く、また深い山地があり、境域だけは広く、とにかく暖かい。

と、ボロカスに言われているのはどこの国(現代も一県になっています)でしょうか。答えは・・・・・・また明日――!

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元禄年間刊行の関祖衡「人國記」(いわゆる「新人國記」)巻下より。

関祖衡(せき・そこう)は堀川先生・伊藤仁斎門下で平(たいら)木斎とも名乗り、「日本分域指掌図」などの著書もあるらしい。「新人國記」といわれる「人國記」は、もともと室町以前の成立(北條時頼が諸国を廻って書いたとも伝承される)である旧「人國記」に大幅に加筆、地図を加えて出版したもの。(ただし、今日の引用部分は関祖衡の加筆部分ではないようです)

問題の答えを知りたい人は肝冷斎が明日も更新できるような状況になれる程度に弾圧が緩和されるよう、祈ろう。心も追い込まれた肝冷斎は「病気再発するかも」とこぼしているそうだ。

 

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