平成26年7月9日(水)  目次へ  前回に戻る

 

沖縄は台風8号の風雨でたいへんだったみたいです。特別警報とか。いま九州もたいへんらしい。

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ふつうのひとにとっては風雨はイヤなものでございますが、南朝の宋の時代のこと。

江蘇・海陵の民・黄尋父という者、家はたいへんに貧しかったのだが、

常大風雨散銭飛至其家。

常に大風雨に散銭飛びてその家に至る。

銭は穴に紐を通して1000枚ぐらいづつ銭さしになっているのが普通ですが、そうなっていないバラのままの銭が「散銭」。

強風、豪雨のときには、いつもバラ銭が黄の家に飛んで来るのであった。

黄の一家は

拾而得之。

拾いてこれを得。

拾ってこの銭を着服した。

飛んで来るのを拾っているだけでどんどん銭が増え、

後巨富、銭至数千万。

後巨富たり、銭数千万に至る。

後には大金持ちになった。数千万枚の銭を所有するようになったのである。

かくして

遂擅名於江表。

遂に江表に名を擅(ほしいまま)にせり。

とうとう長江下流域に誰もが羨む名を轟かせるビッグネームとなった。

そうです。

・・・もしかしたら銭が飛んで来るかも、と思っても、暴風雨の最中に銭を探しに田んぼやら用水路やら防波堤やらの様子を見に行ってはいけませんよ。

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南朝宋・劉義慶「幽明録」より。貧乏でもまともに努力しなくても儲かりそうで、うれしくなってきました。ゼロサム・ゲームだとすると誰かが損をしているわけだが・・・。

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「激」には

激は感の発するなり。

「激」というのは感じて奮起するということである。(「漢書・注」)

という使い方があり、この場合の「訓」として「諸橋大漢和辞典」には「はげむ。はげます。」という読み方が載っておりました。御参考までに。

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