平成25年10月22日(火)  目次へ  前回に戻る

 

やる気ありません。あたま痛いし心臓も・・・。

ところで今日は、だんだん寒くなってくるので服が無いのは困るので、会社帰りにラ○フという衣服も売っているスーパーに寄ったのです。が、なんと、S,M,L、そして・・・LLまでしかありません。沖縄では平気で3L〜5Lを売っていたのに、こちらでは「普通の人」の範囲が非常に狭いのであろう。あるいはパンが無ければケーキを食えばいいのだから、服の無いひとは新聞紙を着ていればいいではないか、ということでしょうか。

ようし、それなら明日は新聞紙を着て出勤するぞ。

そういう粗末な服を着てしごとをしていた人の先例もありますからね。

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後漢の末、建安年間(196〜219)に淮南・寿春の令となった時苗は、字を徳冑といい鉅鹿(きょろく)の人であった。

その性、清白(清廉で潔癖)にして悪を憎む。

政令大いに行われ、ひとびとはその徳を慕った。

赴任する際、粗末な竹で編んだ屋根を載せただけの車を黄色い牛に牽かせたのに乗り、荷物といえば布袋一つだけで、その布袋には寝衣が一枚入っているだけ、昼間の服は着ているもの一着だけであった。

歳余牛生一犢。

歳余にして牛、一犢を生めり。

一年少しすると、その牛が一頭の子牛を生んだ。

及去留其犢。

去るに及んでその犢を留む。

帰任するときになって、その子牛は官舎に置いていくことにした。

主簿(府の庶務課長)が

「この子牛はどうすればいいのですか?」

と問うと、時苗曰く、

令来時本無此犢。犢是淮南所生。

令来たる時、もとこの犢無し。犢はこれ淮南の生ずるところなり。

「わしが赴任してきたときは、もともとこの子牛はいなかった。ということは子牛はこの淮南の地が生んだものじゃ。

わしは赴任先から何かを頂戴していくようなことが役人の在り方だとは思わない」

と。

ひとびとは「やり過ぎ」と批判したが、彼はこれによって名を得て、後、魏の時代に中郎将(宰相)の地位に昇ったのである。

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建安より少し前、2世紀半ばすぎごろ、羊続、字は興祖というひとがあった。

南陽の令となって政令は明白、人民の苦しむところ悦ぶところによく気づいたので、みな大いに服したが、自身はいつも破れた衣を着、乗るところの車馬は壊れ、食事も粗末なものであった。

これを見かねて、府の下役人があるとき

献其生魚。

その生魚を献ず。

入手したナマの魚を持ってきてくれた。

牛や豚ならもっと栄養になるのでしょうが、そういう豪華なものを贈られるのは本人が嫌がるので、「魚ぐらいならよいでしょう」と持ってきてくれたのである。

果たして羊続は「ありがたい」とこれを受け取った。

しかし、

続受而懸之於庭。

続、受けてこれを庭に懸く。

羊続はもらっておいて、これに手をつけずに庭に乾しておいた。

干ものにしました。

そして、

後又進之、乃出前所懸者、以杜其意。

後またこれを進むるに、すなわち前の懸くるところのものを出だし、以てその意を杜(とざ)す。

後に、また「魚が捕れましたよ」と持ってきてくれたときに、前に乾しておいたのを見せて、「まだあるから」と献上品を断る理由にしたのである。

というような清廉潔白というか、お礼を言ったりするのがめんどくさかったのではないかと思います。

霊帝(在位168〜189)は彼を三公の一である大尉に任命しようとして都に呼び戻した。

このころ、後漢の宮廷は衰亡を窮めていたので、官に任ぜられた者から一定の金額を納めさせる決まりで、これを納付する役所が宮中の東の庭にあり(ためにこの役所を「東園」というた)、その役人はみな中官(宦官)であった。

羊続はその東園に出向くと、宦官たちの前で

挙縕袍示之、曰、臣所資唯斯而已。

縕袍(うんぽう)を挙げてこれに示し、曰く、「臣の資するところはただこれのみなり」と。

ぼろぼろの上着をたくしあげて、下着を見せ(あわせて何の所有物も隠していないことを示したのである)、

「わたくしの所有物はこれだけでございます」

と申し上げた。

このため羊続の任命のことは取りやめとなり、ついに官を得ることができずに帰郷を許されたのであった。

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破れ衣に壊れた車馬、ともに清廉潔白・無欲恬淡に見えますが、この二人、大いに違いますね。時苗はこれによってやがて中郎将の地位を得、羊続は職を得ることができなかったのである。

この二人の事跡「時苗留犢」「羊続懸魚」は、それぞれ「魏略」「後漢書」にあるらしいのですが、原典に当たるのめんどうくさいので、いずれも「蒙求」巻上に拠った。

さあ、明日、新聞紙着て職場に行ったら、わしは時苗になるのかな、羊続にしてもらえるのかな。楽しみですね。うっしっし。

 

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