平成25年5月31日(金)  目次へ  前回に戻る

 

やってられんので、今日は福岡に出てきました。

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明末、北京の市場に、どこからともなくやってきた商人、

持白鼠数百。

白鼠数百を持す。

数百匹の真っ白なネズミを売りに出した。

このネズミ、

毛色如雪、眼赤如火。

毛色雪の如く、眼赤きこと火の如し。

毛の色はまさに雪のように白く、目は燃える火のように赤かった。

見物客は山のように集まったが、いかほども売れなかったように見えたが、いずれにせよ商人は一日で姿を消してしまった。

識者曰、此碩鼠也。見則天下将乱。

識者曰く、これ碩鼠なり。見(あら)わるればすなわち天下乱る、と。

物識りが言うには、「あれは「碩鼠」(せきそ)じゃ。あれが現れると世界が乱れるという」と。

そのころ既に南方では李自成らの乱が起こっていたのである。

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「元明事類鈔」巻三十八より。

「碩鼠」は詩経にすでに現れる国を滅ぼすというネズミで、一般には「おおきなネズミ」のことであるというが、こういう色美しい「碩鼠」もいるのである。たしかに、国を滅ぼし世界を乱すモノなら、見た目は好ましく、あるいは耳には触りよいに違いなかろう。

 

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