平成25年3月11日(月)  目次へ  前回に戻る

 

本日は午後二時四十六分に黙祷を捧ぐ。

・・・・・・・・・・・・・・

大都(ペキン)あたりの「物知り」といわれる人たちが言うには、福建には「悪溪」という溪谷があり、

逾者脚足腐弱、其魚多鰐。

逾(こ)ゆる者、脚足腐弱し、その魚は鰐多し。

この谷を越えようとする者は、(その溪谷から出る悪い気によって)足肢が腐り、なよなよとしてしまう。その谷にはワニが多く棲息している。

ということである。

また、福建の沖合には「沸海」という海域があって、

常沸、尤多悪魚。

常に沸き、尤も悪魚多し。

いつもぶくぶくと沸き立っており、そのあたりには悪い魚類がたいへん多い。

ともいう。

実はこれらは羅泌「路史」に書いてあることなので、書物に書いてあることを信用する人はみなそれを事実だと考えているようである。たとえそれが事実で無くても、書物に書いてある以上自分のせいではないし、さらには自分がその書物を読んだということが証明できるので、みな書物に書いてあることを尊ぶのである。

しかし、

余嘗仕閩数年、不聞有此也。

余、かつて閩に仕うること数年、これ有るを聞かず。

わしはかつて福建で数年しごとをしたが、こんな場所があるとは地元では聞いたことがない。

書物に書いてあることにも事実でないことは多いのである。

わしが地元の人からこの耳で聴いたことでは、

常汎南海海水中有火出。

常に汎く南海の海水中には火の出づる有り。

常時、かつ広く、南海の水中から火が出ているのが見られる。 ・・・@

ということ、及び

見海嘯、其海水抜起如山高。

海嘯を見るに、その海水抜起して山の如く高し、と。

ツナミというものがあり、海水が大きく盛り上がって、まるで山のように高くなって押し寄せて来る。・・・A

ということである。

これらはわしが聴いたのであるから、真実であることであろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

元・劉壎「隠居通議」巻二十九より。

Aにつきまして、ツナミを見たことの無いひとにはその恐ろしさはわからないであろう。被災者のみなさんはコワかったでしょうね(「海嘯」は潮汐の干満による現象も指すので、地震津波とは違うものかも知れない、というまともな意見はこの際無視)。@については知らん。セントエルモの火のことか?

3月8日に衆議院で中山成彬議員も言ってましたが、○日新聞の捏造などもあったりしますので、書いてあることを正しいと信じてはいけません。○日新聞に書いてあることを引用すれば、自分は○日新聞を読んでいることが証明できて、自分はインテリだと思ってもらえるにちがいない、などというのは言語道断。

 

表紙へ  次へ