平成24年10月13日(土)  目次へ  前回に戻る

 

辛いのです・・・。明日もか・・・。

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琉球童子の言うことには、

上古之世、風俗質樸人心誠愨。

上古の世、風俗質樸にして人心誠愨なり。

「大昔は、暮らしぶりは質朴で、人の心は誠実だったらしいんだ」

「ほう」

と、肝冷斎は相槌を打ちました。

「その時代には・・・」

琉球童子は続けました。

若人有不善即有神出現、逐一指其人之非、以懲戒之。当此之時也、不有賞罰。

もし人に不善あらば即ち神の出現する有りて、逐一にその人の非を指し、以てこれを懲戒す。この時に当たるや、賞罰有らず。

「もし誰かが悪いことをすると、即座に「神」が現れて、ひとつひとつその人の間違っている点を指摘し、懲らしめ戒めたんだそうだよ。だから、そのころは人の定めた「賞・罰」なんか無かったのさー」

「いつも見張られているのか・・・、厳しいのう」

「ところが、

及世道衰微人心漸変、遂神不復現于世。

世道の衰微して人心の漸変するに及びて、遂に神、世にまた現ぜずなりき。

世の中の道理は衰え弱まり、人の心もだんだんと変わってしまった。こうなると、ついに「神」は出現しなくなってしまったんだ」

「見放されたのじゃな、わははは」

肝冷斎はほっとしたようです。

童子、曰く、

「その後さらに

況復乱逆之輩恃権犯法畏勢用諂、国政大乱。由是定法制度賞罰竝行、以治民人也。

いわんやまた乱逆の輩、権を恃み法を犯し、勢を畏れ諂を用い、国政大いに乱れたり。是によって法を定め度を制し、賞罰竝び行われ、以て民人を治むるなり。

もっとひどいことに、道理を枉げるやつらが、権力を握れば決まりを無視し、力有る者の気に障らないようにすり寄りへつらいしたので、国の政治は大いに乱れてしまった。そこで、規則が定められ、基準が決められ、賞と罰の二つのてだてが行われるようになり、これによって人民を治めるようになったんだって」

「ほう」

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「・・・と、「遺老説伝」巻一に書いてあったのさー」

「なるほどのう。それにしても、「神」が出現しなくなってから、何度乱逆の輩が国政を大いに乱したことであろうか。乱逆の輩はいつもいつも「自分たちはイイモノでちゅよー」と上手に言うので、なかなかわれらしもじもには見分けがつかぬので困るのじゃ」

「いや、純粋なココロで新聞をよく読み、テレビのコメンテーターや知識人と言われるひとたちの言うことをよく聞けば、見分けられるはず、なのさー」

「う〜ん・・・・・・」    

この話に出てくる「神」は「守護霊さま」のことなのかも? いずれにしろ本日はここまでじゃ。老いぼれは寝ますぞ。

 

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