平成24年2月26日(日)  目次へ  前回に戻る

 

寒いのイヤと言っているのに・・・。また昨日今日と寒かったですね。

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利所禁、禁所利、雖神不行。誉所罪、毀所賞、雖堯不治。

禁ずるところ利とし、利とするところを禁ずれば、神といえども行われず。罪するところを誉め、賞するところを毀たば、堯といえども治まらず。

させないようにしようとする行為に利益を与え、利益と考える行為を禁止するなら、どんなにすぐれたひとであっても、そのひとがしてほしいと思う行為は誰にもなされないであろう。

刑罰を与えようと思う行為に名誉を与え、賞賛しようとする行為をした人を叱りつけるのでは、たとえ古代の堯のような聖なる天子が統治者であってもうまく治まるはずがない。

と、「韓非子」巻十二に書いてあった。

たとえばこのようなことである、という。

1)春秋の魯の賢者・西門豹が鄴の町の令となった。その政治は税を安くして公平に、またきわめて清廉潔白、毛の先ほども自己の利益を図ることなく、また主君の近臣たちにも何の贈り物もしなかった。このため、近臣たちは豹をその主君に悪しざまに言うた。

一年後にその政績について報告したところ、主君は豹に鄴令の璽(公印)を返上するよう命じた。(要するにクビです)

豹は主君に請うて曰く、

臣昔者不知所以治鄴。今臣得矣。願請璽復以治鄴。

臣、むかしは鄴を治める所以を知らず。今、臣得たり。願わくば璽を請い、また以て鄴を治めんことを。

やつがれ、これまでは鄴の町を治める方法をよく知りませなんだのじゃ。しかし今はやつがれ、よくわかりました。どうぞもう一度だけ公印を賜り、鄴の町を治めさせていただけますまいか。

もう一年やってやはりダメなら、罰として斧や鉞で首を斬られてもかまいません―――。

というので、主君はやらせることにした。

そこで豹は、また一年、鄴の令をやることになり、今度は重税を課して人民から収斂し、増えた税収を国庫に送り、また主君の近臣に多く贈り物を贈った。

一年後、報告のために都に帰ると、果たして、主君はその政績のすばらしさを賞賛して、都の門前まで自ら豹を出迎えたのであった。

豹、応えていう、

往年臣為君治鄴而君奪臣璽。今臣為左右治鄴而君拝臣。臣不能治矣。

往年、臣、君のために鄴を治むるに、君は臣の璽を奪えり。今、臣、左右のために鄴を治むるに、君、臣を拝す。臣、治むるあたわざるなり。

昨年、やつがれは御主君のために鄴を治めてみました。ところが、御主君はやつがれの公印を召し上げようとなされた。今年は、やつがれは御主君の近臣どものために鄴を治めてみました。ところが、御主君はやつがれを門の外まで出迎えてくだすった。どうやらやつがれには政治というものはできないようでございます。

そして、公印をお返しすると、郷里に帰り去ってしまった。・・・・・・・

またあるいはこういうことである、という。

2)子綽(ししゃく)という賢者が言うたことば。

人莫能左画方而右画円也。以肉去蟻、蟻愈多、以魚駆蠅、蠅愈至。

ひと、よく左に方を画き、而して右に円を画くなし。肉を以て蟻を去らんとすれば、蟻はいよいよ多く、魚を以て蠅を駆らんとすれば、蠅いよいよ至る。

左手で四角を描きながら同時に右手で円を描くことのできるひとはいない。(当たり前のことである。同様に、当たり前のこととして、)甘い肉にたかってくるアリを追い払おうと、さらに肉を増やしたら、アリは追い払われるどころかますます増えるであろう。魚にたかってくるハエを追い払おうと、さらに魚を増やしたら、ハエは追い払われるどころかますますたかってくるであろう。

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昨日は寒いのイヤなのに東北に行ってたのでより寒かった。寒いのイヤなら南國に行けばいいのに、今週はしごとでもっと寒いところに行くので、しばらく更新休みます。寒いのほんとにイヤ。

 

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