平成21年 9月13日(日)  目次へ  前回に戻る

 落日ですなあ。

景公(在位前547〜前490)が飲酒をほしいままにし、

酔而解衣冠、鼓琴以自楽。

酔いて衣冠を解き、琴を鼓して以て自ら楽しむ。

酔っていい気分になり、王位を示す衣も冠を脱ぎ捨てて、自ら琴をじゃんじゃんかき鳴らし、うひゃひゃ状態となった。

そして、左右の者を見返って、

仁人亦楽此乎。

仁人もまた此れを楽しめるか。

「うひゃひゃ、仁徳ある立派なひとも、やはりこんなことは楽しいのであろうか。」

すると、左右の者は答えた。

仁人耳目猶人、何為不楽乎。

仁人耳目ひとのごとし、何ぞ楽しまざると為さんや。

「仁徳ある立派なひとの耳と目は、やはり普通のニンゲンと同じとございます。どうしてこんな楽しいことが楽しくない、ということがありましょうか。」

「そうであるか?」

「そうでございますよー」

「ほんとにそうなのであるな?」

「もちろんでございますよー」

「よし、それでは・・・」

景公はうひゃひゃと笑いながら言った。

駕車以迎晏子。

車を駕して以て晏子を迎えよ。

「馬車を出して、晏嬰先生をお迎えしてこい。」

「晏子」(=晏嬰)は当時の斉の賢人宰相である。景公は、臣下とはいえ、「仁人」とはこのひとのような方をいうのだ、と尊敬していたのであった。左右の者に聞くと、「仁人もこの状態は楽しいはずだ」と言うので、その尊敬するひとと、一緒に楽しもうというのである。

早速馬車が差し遣わされ、晏子が呼ばれてまいりました・・・

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続く。「韓詩外伝」巻九より。

本日は長い(心の)旅から帰ってまいりましたので、ここまでにしておきとうございます。それにしても、長い旅から帰ってきて目にするこの国の、荒れ果てたありさまはどうだ・・・とかうんたらかんたら。

 

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