平成21年 6月26日(金)  目次へ  昨日に戻る

唐・司馬承禎「天地宮府図」T―1

王屋山(河南)  小有清虚洞天

●尚書・禹貢にいう底柱析城、王屋に至る、というのはこの山である。

●山の中が空洞になっており、其の中に多くの仙人たちの住宅がある。その広きこと、王者の館のごとくである。

●杜甫の詩の中にも「憶う、昔、北の方小有洞を尋ねしを」と謳われている。

●頂上に天壇があり、いつも雲気があってこれを輪のように取り囲んで隠している。雷・雨の類はすべてこの天壇より下に起こり、飛ぶ鳥も背中しか見えぬ。いにしえより、仙人・神霊の朝に会するところと伝わる。

●この山麓は唐の司馬承禎の真理を修めたところである。白雲道院あり、承禎の名づけるところである。

●宋の徽宗皇帝、かつて遊び、天尊殿内の壁に自ら神仙・龍・鶴・雲気昇降・仙人たちの車や籠の類を描いており、これを見るにすこぶるすばらしい。

●仙猫洞なる洞あり。かつて燕真人が丹薬作りに成功し、そのエネルギーでニワトリやイヌとともに天上に昇っていった場所である。ただネコだけが同時に昇天できず、いまに至るもこの洞に住むという。洞の入り口より呼びかければネコの声が応えるのである。

(三才図会・地理九巻)

 

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