平成21年 5月24日(日)  目次へ  一昨日に戻る

↑この字は「震」。

今日は雷コワかった。

ゆえに雷にまつわる話をしなければなるまい。

唐のころ、興州に「雷穴」という洞くつがあった。

この洞くつ、下半分はいつも水が流れているのだが、

毎雷声、水塞穴流。

雷声ごとに、水、穴を塞ぎて流る。

カミナリが鳴ると必ず水流は穴全体を塞ぐほどになる。

のであった。

しかもそのとき、

魚随流而出。

魚、流れに随いて出づ。

サカナがその水流に押し出されるように、洞くつ内から出てくるのである。

そこで人民どもは、雷鳴が起こるとすぐに、

繞樹布網、獲魚無限。

樹を繞らせて網を布き、魚を獲ること限り無し。

洞くつの周りの木に結びつけて、水流いっぱいに網を広げ、きりがないぐらい魚を得た。

また、漁獲が無くて困ると、

漁子聚鼓于穴口、魚亦輙出。

漁子、聚まりて穴口にて鼓をうつに、魚またすなわち出づ。

漁師たちは集って、洞くつの出口のところで太鼓を叩く(雷鳴のような音を出すのである)。すると、そのときも魚が出てくる。

ただし、

所獲半于雷時。

獲るところ、雷時に半ばなり。

漁獲高は、雷の時と比べると半分ぐらいである。

そうである。

これは興州刺史の韋行規が、自ら書状に認めて寄越したのである。

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唐・段成式「酉陽雑俎」続集巻二より。

結論としては、

ア) 水流・・・普段は穴の二分の一までである。雷の音響とその際の空気中の放電現象により二倍になる。

イ)  漁獲高・・・音響により漁獲がある。放電現象があると二倍になる。なお、二倍になったときの漁獲高は「限りなし」=である。

ということである。

 

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