令和2年9月17日(木)  目次へ  前回に戻る

秋の寄せ鍋ゲーム用キャラクター「けんこうさん」。健康志向のくせに健啖家だ。

今日も何もしなくてもツラかった。明日は何かしなければいけない上にツラい。

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どうせアップできないので今日も昨日の続きである。

南京府の御史・某氏が、使用人に

尹山人をお食事に招待したいのでお呼びしてまいれ」

と命じたところ、使用人が言うには、

昨昔尹登大中橋観月、両鼻垂涕尺余。殆死矣。何召。

昨昔、尹、大中橋に登りて月を観たるに、両鼻涕を垂らすこと尺余なり。ほとんど死せり。何ぞ召さん。

「ゆうべ、尹のおっさんは、大中橋の真ん中で月を見ていやした。そしたら両方の鼻の穴から鼻水が出てきて、30センチ以上も伸びていたんでやんす。あれは死にかけてました。呼んできてもしようがありませんぜ」

某氏はそれを聞くと、「わはは」と大笑いして、

此為鼻柱。非老病也。

「教養の無いやつはこれじゃからなあ。それは道士が気を吸収するときに鼻に入り込む気が棒状に見える「鼻柱」という現象じゃ。年寄りや病人が衰弱して鼻水を垂らしているのではないのだ」

「はあ。月の気を吸い込んでいたんでやんすか」

「わかったら、早くお呼びしてこい!」

「へへい」

隷甫行而尹已扣門入。

隷、甫(はじ)めて行くに、尹すでに門を扣き入れり。

使用人がやっと出かけようとしたとき、尹はもう門を叩いて、案内も無いのに入り込んできて、

「食事にお誘いいただいたと聞いたので、駆けつけてきたぞ」

と言ったのであった。

・・・↑は、コント仕立てですね。

また、ある年の夏、とある富豪が山人を郊外の屋敷に呼んで、避暑がてらしばらく滞在してもらったことがあった。

ある日、山人は、

偃几昼睡。

几に偃して昼睡す。

テーブルに突っ伏して、ぶうすかと昼寝をしていた。

主人がそっと通りかかると、山人は、

寤而語曰、適遊姑蘇洞庭山而返。

寤(さ)めて語りて曰く、「適(まさ)に姑蘇の洞庭山に遊びて返れり」と。

目を覚まし、主人に向かって言うに、

「ちょうど蘇州の洞庭山にふらりと行って帰ってきたところですわい」

南京から蘇州までは百キロぐらいあります。

「いや、いま先生はぶうすかと昼寝しておられたところでは・・・」

山人はにやりと笑って、

即出袖中両橘畀之。

即ち袖中より両橘を出だして、これを畀(あた)う。

即座に袖の中から二つのみかんを取り出すと、主人に手渡した。

「た、たしかに洞庭山はみかんで有名ですが、この真夏に・・・」

季節外れのさわやかな香りが、部屋に満ちた・・・という。

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「客座贅語」巻八より。アップできなくて人目に触れない、と思うと、手抜きで毎日同じ話を続けててもかまわないから楽ちんだなあ。世俗社会では冗談でないぐらい追い詰められてきたが、どうせわしは残存思念波であり、本体はだいぶん前から彼岸側にいるので、もうどうでもいいんです。自爆してやるか。

 

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