令和2年9月7日(月)  目次へ  前回に戻る

ネコはいろいろ忙しいのでニンゲンの代わりはムリであるニャ。

おれは肝冷ねこニャ。おれのようなネコにシゴトさせ、責任を問うとは何事ニャ。

・・・・・・・・・・・・・・・

シゴトは立派なひとがやらなければいけません。

愚者易蔽也。 愚かなる者は蔽い易きなり。

不肖者易懼也。不肖なる者は懼れ易きなり。

貪者易誘也。 貪ぼる者は誘(いざな)い易きなり。

 オロカなやつはだましやすい。

 気の弱いやつはビビらせやすい。

 欲深ものは引き込みやすい。

のですからニャ。(どれもこれも在りし日の肝冷斎に見事に当て嵌っているので泣けてくる)

一方、

仁人軽貨、不可誘以利、可使出費。

仁人は貨を軽んず、利を以て誘うべからずして、出費せしむべし。

みんなのシアワセを願っているひとは、財産を軽視しているから、利益によって引き込むことができない。おカネを使わせることができるだけだ。

勇士軽難、不可懼以患、可使拠危。

勇士は難を軽んず、患いを以て懼れしむべからずして、危に拠(よ)らしむべし。

勇気のあるおとこは、危難を軽視しているから、悪い状況になっても不安にさせることができない。危険な状況にすることができるだけだ。

智者達於数、明於理、不可欺以誠、可示以道理、可使立功。

智者は数に達し、理に明らかなれば、誠を以てしても欺くべからず、道理を以て示すべく、功を立たしむべし。

知恵ある者は運命を予測することができ、すじみちを理解しているから、いかに誠実に対応しても欺くことができない。理論的に正しい説明をしなければならず、結果、どうしても彼は成功するだろう。

是三才也。

これ、三才なり。

この三つの人材はどんな国でも必要とされるのだ。

立派なひとがやればうまくいくんです。

どんどんおカネを使ったり、危険な状況も気にせずに、エサやりとかしてほしいニャ。

・・・・・・・・・・・・・・

「鬼谷子」謀篇第十より。にゃお、「鬼谷子」という書物は、遊説の士(いわゆる「説客」)にノウハウを伝えるもので、鬼谷先生の著というのだが、鬼谷先生は、戦国の時代、後に縦横家として活躍する蘇秦と張儀の先生だったと「史記」の「蘇秦列伝」「張儀列伝」に書いてあります。しかしながら、「鬼谷子」という書物は、内容や文章から見て紀元後のものであることは確実で、「隋書・経籍志」に初めて書名が出ることから、そのころの本なんだろうなあ、と推測されていますんニャ。ニセモノ、というか古い本なんでそんなものなんですんニャ。

 

次へ