令和2年8月7日(金)  目次へ  前回に戻る

カメ軍師(想像図)だ。あのカッパの遠縁にも当たるというのだから、すさまじい知恵者であろう。

今日はきつかった。大きな宿題が・・・。もうコドモには手に負えません。もう出奔するしかないでちゅー!

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・・・ということで、誰もいなくなったようでカメ。今日はもうニンゲン肝冷族の手を離れてカメ軍師のわしが更新しますでカメ。うっしっし。

軍讖曰香餌之下必有死魚、重賞之下必有勇夫。

「軍讖」に曰く、「香餌(こうじ)の下には必ず死なんとする魚有り、重賞の下には必ず勇なる夫有り」と。

「軍讖」(ぐんしん)は「いにしえの兵書なり」と伝わります。今は遺っていません。「死魚」を「死んだ魚」と解してしまうと意味が通らなくなるので、ここでは「これから死のうとする魚」のことです。

いにしえの兵書「いくさの知恵」にこう書いてある。

―――うまそうなエサを釣り糸につけておけば、そこには必ず死んでもいい(から美味いものを食べたい)と思っている魚が寄って来る。同様に、大きな褒賞があるならば、(死んでもいいから褒美が欲しいと思っている)勇気ある男たちが集まって来る。

と。

礼者士之所帰、賞者士之所死。

礼なるものは士の帰するところ、賞なるものは士の死するところなり。

男たちは、礼を以て遇されるところに従おうとし、褒美をもらうために死のうとするものなのだ。

ゆえに、

招其所帰、示其所死、則所求者至。

その帰するところに招き、その死するところを示せば、求むるところの者至らん。

彼らの従おうとするところに呼び集め、彼らの死のうとするところのものを示してやれば、思い通りの人材が集まってくるであろう。

うっしっし。

しかし、

礼而後悔者士不止、賞而後悔者士不使。礼賞不倦、則士争死也。

礼して後に悔ゆる者には士は止まらず、賞して後に悔ゆる者には士は使われず。礼賞倦まざれば、士は争いて死するなり。

礼を以て処遇したあとで「処遇し過ぎたかなあ」と後悔する者の下には、男たちは止まってくれない。褒美を与えたあとで「与えすぎたかなあ」と後悔する者の下では、男たちはシゴトをしてくれない。待遇も褒美もがんがん与えてやまないようであれば、男たちは先を争って死んでくれるだろう。

うっしっしー。

ニンゲンの知恵は、魚ぐらいしかないのかも知れませんね。そして、君主たちはそのニンゲンの欲望や闘争心を利用するのだ。出奔もせずに先を争って死のうとする必要はないと思うのじゃでカメ。

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「三略」上略より。しかし利用されているとわかっていてもがんばっちゃって、カメの助言など聞き入れないひともいるので、そんなひとはどうなっても知らないでカメ。・・・あれ。こんなところに美味そうなエサがあるでカメ。他の魚やカッパに獲られる前にいただきま―――

 

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