令和2年3月24日(火)  目次へ  前回に戻る

蒲公英は地の花詩人は不遇でよし 寺山修司 おれたち肝冷斎族には名誉や財産は関係ないのさ。

なんとかして経済を回したいところです。

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おカネのあるひとは、どんどんおカネ使った方がいいみたいですよ。

だいたい、財産はそれを所有している、と思っているそのひと個人のものではないんです。

仏家以貨財為五家公共之物。

仏家、貨財を以て五家公共の物と為せり。

仏法の世界では、財物は五種類のひとびとの共有のものだ、と説いているそうである。

五種類とは何であろうか。

一曰国家。 一に曰く、国家。 

二曰官吏。 二に曰く、官吏。

三曰水火。 三に曰く、水火。                                                                                        

四曰盗賊。 四に曰く、盗賊。

五曰不肖子孫。 五に曰く、不肖の子孫。

その一は、国家である。国家が「この財物はこちらで使うぞ」と言ってきたら、「はいはい」と言って公共のために提出しなければならん。

その二は、役人どもである。役人どもが「これはこちらに寄越しなされ」と言ってきたら、「むむむ」と思いながらも権力を恐れて提出しなければならん。

その三は、水害や火災である。洪水、火事その他の天災、人災が起これば、財産は水や火の奪うところとなるのである。

その四は、盗賊である。財物を持っている以上、盗まれるかも知れん。あるいは脅し取られたり、騙し取られたり、犯罪者のものになってしまうことがある。

その五は、怪しからん子孫である。大切な財産を命ある限り守り切ったとしても、それを受け継いだおまえの子どもや孫が、自分が稼いだもののように好き放題に使い尽すことであろう。

其言煞有意味。居官居室者皆不可不透徹此意。

その言、煞(はなは)だ意味有り。官に居り室に居る者、みなこの意に透徹せざるべからず。

以上のコトバはたいへん意義深いものである。お役所務めの者もそうでない者も、みなその内容を徹底的に思い知っておかなければならん。

特に、

其曰不肖子孫甚妙。若果有賢子孫、更不必需此。

その「不肖の子孫」と曰うは甚だ妙なり。もし果たして賢子孫有れば、さらに必ずしもこれを需(もと)めざらん。

この中でも「怪しからん子孫」と言っているのが、実によく出来ている。もしも「賢い子孫」であったなら、祖先の遺した財物などおそらくは不要であろう。

だいたい、おまえさん自身が「不肖の子孫」なのか、それとも「賢子孫」なのか?

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清・阮癸生「茶余客話」巻十五より。勉強になるなあ。財物なんてそういうモノなんで、どんどん無駄遣いした方がよいような気がします。今こそ玉子丼をかつ丼にし、みそラーメンをみそチャーシュー麺にするような飛躍の決断が必要なときなのですぞ。

こんな子孫に使い尽されてしまうかも知れないのだ。それぐらいなら大盛を特盛にした方が・・・。

 

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