令和元年10月31日(木)  目次へ  前回に戻る

激務?の間に作成された「ねこねこモンタージュ」。これで騙される純粋な子供がいないか、明日からまた調べにいくのだ。

現世を生きていると、「あったま来た。もうガマンならん」と思うことは多くあるのですが、なかなかそんなことには普通はなりません。みんなガマンしてガマンして耐えているのです。

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斉の桓公が問いました。

用兵奈何。

兵を用うるは、奈何(いかん)するや。

「軍隊を動かすときは、どんなふうにするのか」

宰相の管仲さまが答えて言いなさったことには、

五戦而至於兵。

五戦して兵に至る。

「五回戦って、それから軍隊を動かします」

「はあ? 軍隊を動かして、ではなくて、軍隊を動かす前に五回戦う、と?」

「そうでございます」

此若言何謂也。

この若(なんじ)の言は、何の謂いぞ。

「その、おまえのコトバはどういう意味なのだ?」

管仲は答えて言った。

謂、戦衡、戦准、戦流、戦権、戦勢。此所謂五戦。而至於兵者也。

謂う、衡を戦わせ、准を戦わせ、流を戦わせ、権を戦わせ、勢を戦わす。これいわゆる五戦なり。而して兵に至るものなり。

「衡」は「はかり」、「准」は「法」の意、「流」はいろいろ解釈できますが、ここでは「流派」の意味に解しておきます。「権」は「はかりごと」、「勢」は「いきおい」。

「わたしのコトバの意味はですなあ、まずは互いの実力を判断する能力を争わねばなりません。次に戦時に軍事に関する法令の能否を争わねばなりません。次には戦術面において採用した流派の良し悪しを争わねばなりません。それから、相手を追い込むたけの謀略をめぐらさねばなりません。さらに、士気や大義名文の有無、時代の流れといった勢いを争う必要がございます。ここまでが五回の戦いです。そのあとでやっと軍隊を動かす段階になるのでございます」

桓公は頷いて、言った、

善。

善し。

「なるほどなあ」

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「管子」軽重甲第八十より。実力行使の前には五回戦わねばならないのです。みなさんもガマンしなければなりませんぞ。わしはもうガマンできそうにないので明日からまたしばらくこの世から離れますけど。

 

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