平成30年8月25日(土)  目次へ  前回に戻る

うちなーは旧盆の真っ最中。本土みたいにムシムシに暑くなく、今頃はジェット気流で青々と晴れ渡った満月の空を、南風がそうそうと吹きすぎていることであろう。しかしおいらは行ったってひとりぼっちだしなあ・・・。

今日はほんとに暑かった。山中は涼しいと思うかも知れませんが、内陸部なんで高温なんです。しばらくしたら海岸洞窟に引っ越すかも。

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明の萬暦辛亥年(1611)七月に、姑蘇城外の報国寺にて盂蘭盆会を執り行ったとき、ふらりと一人の蕃僧(外人僧侶)がやってきた。

西域于闐(うてん、ホータン)国から来たといい、名は尊住鎖南(そんじゅう・さなん)と名乗ったが、

道行甚高、寺僧便相敦請登座。

道行甚だ高く、寺僧すなわち相敦して登座を請う。

たいへん深く仏道修行しているように見え、寺の僧たちは相談して一番上席に座っていただくよう篤く願った。

上席の僧から順に、檀家よりお斎(ごはん)が出ます。

お斎が終わりますと、

此蕃僧能以一鉄小鍋、置炭火中焼赤、用左手三指ー之。

この蕃僧、よく一鉄小鍋を以て炭火中に置きて焼赤せるを、左手三指を用いてこれをー(ささ)ぐ。

この外人僧侶は、一枚の鉄製のなべを出してきて、これを炭火の中に置いた。やがて真っ赤に焼けてくると、左手の指三本でこのなべを持ち上げたのである。

更令取沸湯貯満其中、却含其湯於口、噀衆人頭面上。

さらに沸湯を取りてその中に貯満せしめ、却ってその湯を口に含みて、衆人の頭面上に噀(ふ)く。

さらにその赤熱したなべの中に沸き立った湯を注ぎ入れさせた。お湯がなべ一杯になると、それを口に含み、僧侶たちの頭や顔に向けて噴き出した。

「うわーい」

「やめてくだちゃーい、あちちち・・・」

「・・・あれ?」

其水清涼沁肌、曾不焦灼。

その水、清涼にして肌に沁み、かつて焦灼せず。

その水は冷たくて、肌に沁みとおるようで、少しもやけどなんかしなかったのだ。

「これはすごいカモ」

衆莫測其神通也。

衆、その神通を測るなきなり。

みんなこの僧の神通力は測り知ることができないと呆れたのであった。

そこで質問しました。

師有術乎。

師、術有りや。

「尊師さまは何らかの法術を持っておられるのでしょうか」

有。

有り。

「持ッテマース」

可学乎。

学ぶべきや。

「それは学ぶことができるものなのですか」

可学。

学ぶべし。

「学ブベキコト、デキマース」

しかし、しばらくしてから、付け加えて言った。

但汝無信心。

ただ、汝に信心無し。

「オー、サレド、アナタ、信心アリマセーン」

「はあ」

「ダメネ」

とのことであった。

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明・銭希言「獪園」第五より。この蕃僧さまなら、今日も「涼シイデース」と言えたカモ。

 

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