平成30年6月3日(日)  目次へ  前回に戻る

モグ忍者、ナマケモノ忍者、コアラ忍者に狙われるぶたとの。全く動じていないとは、なんという度量であろうか。

明日も休みだと思うんです。天の恵みで、わたしどもには日曜日が永久に続くはずなんで。

・・・・・・・・・・・・・・・・

孟子曰、有天爵者、有人爵者。仁義忠信、楽善不倦、此天爵也。公卿大夫、此人爵也。

孟子曰く、天爵なるもの有り、人爵なるもの有り。仁義忠信、善を楽しみて倦まざるは、これ天爵なり。公卿大夫はこれ人爵なり。

孟先生がおっしゃった。

―――「天界で与えられる地位」という(べき)ものがある。「人間世界で与えられる地位」というものがある。仁・義・忠・信を大切にし、善いことを楽しんで厭きることがない、というのが天界で与えられる地位であり、公卿や大夫の位はニンゲン世界で与えられる地位である。

むかしはよかったことに、

古之人修其天爵、而人爵従之。今之人修其天爵、以要人爵。

いにしえの人はその天爵を修むれば、而して人爵これに従えり。今の人はその天爵を修むれば、以て人爵を要(もと)む。

むかしの人々は、天界で与えられる地位をきちんと習得しさえすれば、ニンゲン世界での地位はそれに従って与えられたものである。しかしゲンダイ(紀元前4世紀)の人は、天界で与えられた地位を習得したと思うと、それによってニンゲン世界での地位を求めようとしているのだ。

しかも、

既得人爵而棄其天爵、則惑之甚者也。終亦必亡而已矣。

既に人爵を得てその天爵を棄つれば、すなわち惑いの甚だしきものなり。ついにまた必ず亡からんのみ。

ひとたびニンゲン世界での地位を得ると、今度は天界で与えられた地位を棄ててしまおうとする。これは昏迷のし過ぎで、(天爵を失えば)ニンゲン世界での地位もまた、必ず失うことになるであろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「孟子」告子上篇より。有名な「天爵人爵章」です。十回ぐらい読んで少しでいいので覚えておきましょう。

さて、この章の非常によくわかる注釈がありましたので、以下に紹介します。これはすっきりしますよ。

無天爵而人爵至、非義。不可受之也。

天爵無くして人爵至るは、義にあらざるなり。これを受くべからず。

天界で与えられた地位が無いのに、ニンゲン世界でだけ地位を与えられるのは、正義の要請に反している。このような地位は受けるべきではない。

なるほど。

有天爵而人爵従之、義也。当受之也。

天爵有りて人爵これに従うは、義なり。まさにこれを受けるべきなり。

天界で与えられた地位があって、ニンゲン世界でそれに応じた地位を与えられるのは、正義のあるべき状況である。このような地位は受けなければならない。

そして、

有天爵而人爵不至、命也。安之而已矣。

天爵有りて人爵至らざるは、命なり。これに安んずるのみなり。

天界で与えられた地位があるのに、ニンゲン社会ではそれに応じた地位が与えられないのは、運命というものである。これに対してはそのことに安んじて生きていくしかない。

此義命之弁也。

これ、義・命の弁なり。

これこそ、正義と運命についての説明である。

ということで、みなさん基本的に「安んじて」ください。もし地位が回ってきても非義なやつは受けてはダメですよー。

・・・・・・・・・・・・・・・

この注釈は本朝・伊藤仁斎「語孟字義」天命条より。ニンゲン世界での地位を失ったわしら一族には、毎日が日曜日となる「天爵」が与えられております。この地位が永遠に続きますように。

 

次へ