平成29年3月11日(土)  目次へ  前回に戻る

ぽんぽこたちも忘れてはいまい。

また311が来ました。少しづつ風化しているけれど、毎年「あの年は寒かったなあ」と思い出す。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

凄涼能幾感滄桑。 凄涼よくいくたびぞ、滄桑を感ず。

屋倒人亡尽断腸。 屋は倒れ人は亡び、ことごとく断腸。

「滄桑」は、「滄海が桑田に変じる」ということです。「神仙伝」によれば、仙女・麻姑さまは長く生きてこられたので、「滄海(あおい海)が桑田に変じ、桑田が滄海に変じる」ような大地の変化を三度も見た、のだそうです。爾来、「滄桑之変」は時間の経過などにより大地の相貌が変化することを言う。ここでは、地震・津波によって地形が変わったことをいうのであろう。

 心を寒くするようなすさまじさで、地震の前後で地理景観が大きく変わったことを何度も思い知らされる。

 あの日、家は倒れ、ひとびとは亡くなり、はらわたを断つようなツラいことがたくさん起こったのだ。

忍説有爲生滅法。 説くに忍びん、有爲生滅の法を、

果知諸行是無常。 果たして知る、諸行これ無常。

 存在しているものは生まれては消滅していくのだ、という理法を口にするのも心に引っかかる。

 それでも思い知らされるではないか、あらゆるものは永遠ではない、ということを。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

明治のひと、釈・種月「災後偶感、有此作」(災後にたまたま感じて、この作有り)。

ただし、この作品は明治三十五年(1902)に編集された「明治二百五十家絶句」に収められている、ということのほか、この釈・種月というひとがどういうひとであるのかよくわからないんです。なので、この「災」がどの災害のことなのかわかりません。この詩集に収められているのは明治三十二年までの作品らしいので、明治二十九年の明治三陸津波なのではないかと思うのですが、如何。

 

次へ