平成29年2月13日(月)  目次へ  前回に戻る

わが趣味は「めでた節」を唄うことじゃ。〽はあ〜、めでたい、めでたい、めでたいのう♪ 大人の趣味はかっこいいでぶー。

今日も寒かった。なかなか冬が終わりませんね。

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冬の夜長は石でも玩んで過ごしたいものですなあ。

さて、わたしの友人の程というのは、

好蓄奇石、因以酔石署其斎。

奇石を蓄えるを好み、因りて「酔石」を以てその斎に署す。

不思議な石を手に入れるのが趣味で、ためにその書斎を「酔石(石に酔っている)斎」と名づけていた。

彼の秘蔵の石が三つあった。

一石質理瑩澤如玉、上有老猿、手攀枯松根、而以一足掛下、濯於滄浪。其松蒼色、其猿白色。

一石、質理の瑩澤たること玉の如く、上に老猿有りて枯松の根を手攀し、一足を以て下に掛けて、滄浪に濯う。その松蒼色にしてその猿は白色なり。

一つの石は、石質や肌理は光を帯びてしっとりとしてまるで玉のようである。上部に老いた猿(のようなでっぱり)がいて、枯れた松の根を手で攀じ、片足を下にぶらさげて、滄浪の川に浸している(ような形になっている)。その松(に見えるところ)の色は深い青色で、猿(に見えるところ)の色は白である。

一石洞赤、下有大海、日出其中、三人相倚而観之。彷彿金支翠旂、其人衣飾各別、而質理奇峻、色微碧。

一石、洞赤にして、下に大海有り、日その中に出で、三人あい倚りてこれを観る。金支翠旂を彷彿し、その人衣飾おのおの別にして、質理奇峻、色かすかに碧なり。

一つの石は、周囲が赤くなっていて、中がへっこんでいる。へっこみの下部に大きな海(のように見える模様)があり、日がその中から出てきて、三人のひとがもたれあうように立ってそれを見ているようである。その人たちのまわりには黄金の枝やみどり色の旗そっくりのものが立っており、三人の服やアクセラリーはそれぞれ違っている。そして、石質や肌理は独特のとげとげしさを持っていて、ベースはかすかにあおみどりである。

一石有白虎斑斕踞其上、尾若動揺。

一石、白虎の斑斕してその上に踞(うず)くまり、尾動揺するが如し。

一つの石は、白虎のまだら模様のやつが石の上にうずくまって、尾を揺らしているよう(なでっぱりがあるの)である。

いずれもすばらしい。

このほか、

斎中又有瑪瑙糸、赤霞紋諸石、磷磷満牀、不可校数。

斎中また瑪瑙糸、赤霞紋の諸石有りて、磷磷として牀に満ち、校数すべからず。

書斎の中には、糸のように細く伸びたメノウ石や赤い霞がかかったような模様の石などがあって、棚にごろごろと並べられ、数えられないぐらいである。

たいへん羨ましい限りである。こんなの持ってたら人にもったいぶって見せたくなりますよね。生きているのが楽しいカモ。

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明・銭希言「獪園」第十六より。

・・・いや、自分よりすごいコレクション持っているやつが現れる前に、この世からいなくなってしまうほうを選ぶカモ。そこらへんはマニアごころは複雑である。

 

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