平成28年4月2日(土)  目次へ  前回に戻る

夜桜の向こうに月があるように、湖中に鏡があってもおかしくはない。

今朝は出勤。( ;∀;)。しかし明日は休める。

今夜はせっかくの休前日なので、役にも立たず為にもならないような文章でも読んでなごんでいたいですね。

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広州・番禺の役場から東北に五十チャイナ里ほど行ったところに小さな湖があるんです。

毎旦湖中有一輪、光明如月、大四五尺。朝日射之、揺蕩照耀。

毎旦、湖中に一輪有り、光明月の如く、大いさ四五尺。朝日これを射るに、揺蕩して照耀せり。

毎朝、この湖の中に一つの光の輪が浮かび出す。この光輪の色は月光のようで、実際の大きさは直径1〜2メートル、朝日がこの輪に射しこむと、ゆらゆらと輝ききらめくのである。

番禺は少数民族(「土人」)の土地です。

土人以為古鏡、因名湖曰照鏡。

土人以て古鏡と為し、因りて湖に名づけて「照鏡」と曰う。

地元の少数民族どもは、この光の輪のことを古代の鏡なのだと言い伝え、ためにこの湖の名前を「照りかがやく鏡」と名づけている。

彼らに伝わる民謡があります。

湖中有鏡長如月、 湖中に鏡有りて長きこと月の如く、

然淘之亦無所有。 しかるにこれを淘(よな)げばまた有るところ無し。

 湖の中には鏡があって、月のように永遠に存在している。

 だがこれを掬い取ろうとすると、どこにもそれはありはせぬ。

―――ところが、

自掘断後山龍脈、鏡光遂隠。

後山の龍脈を掘断してより、鏡光ついに隠る。

湖の裏山に通じていた風水術でいう「龍の流れ」を誰かが掘って切断してしまってからは、この鏡の光輪は現れなくなった。

のであった。

どっとおはらい。いい感じに役に立たないおはなしでございました。

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清・屈大均「広東新語」巻四より。

明日の夜はまた平日に怯えて眠らねばならないのだなあ。

 

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