平成27年12月19日(土)  目次へ  前回に戻る

写真の読み込みが出来なくなってしまい、画像使いまわし中。勝手にバージョンアップして、困るおー。

また現世に戻ってきました。現世は寒いですね。明後日はまた平日か・・・。

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さて、せっかく現世に戻ってきましたので、問題です。

次の詩は、Aさんが引退しようとしているBさんに贈った五首連作の詩の一つです。さて、A・Bの組み合わせとして正しいものを下記の1〜4から選べ。

党人如鯘魚、 党人は鯘魚(だいぎょ)の如く、

其臭掩家国。 その臭、家国を掩う。

君子欲何帰、 君子、何れにか帰らんとす、

~蘭在幽谷。 ~蘭(けいらん)は幽谷に在り。

 党派を作ってしのぎあうやつらは、腐った魚のようなもの、

 その腐れた臭いが、国家を覆っている。

 よきひとは(そんな世俗を去って)いったいどこに帰ろうというのか、

 かおりよき蘭は、(詩経に書いてあるとおり)深い谷にあるものだ。

 

    A    B

1  杜甫    李白

2  毛沢東   周恩来

3  野村克也  長嶋茂雄

4  与謝野鉄幹 若槻禮次郎

 

え? わからない?

・・・では、連作中のほかの詩を読んでみますか。

普通施選挙、 普通に選挙を施し、

新法策昇平。 新法に昇平を策す。

一事能千古、 一事、千古に能たり、

克堂賢相名。 克堂、賢相の名。

 普通選挙を施行し、

その選挙法によって太平の世を導こうとした。

この一事を以て千年の先まで、

賢人宰相・克堂先生の名は遺ることであろう。

大功貪豈多、 大功は貪ぼることあに多からんや、

一喫厭天下。 一喫して天下に厭きん。

応羨外時栄、 まさに羨むべし、時栄を外にして

悠悠高踏者。 悠々と高踏する者。

 大いなる功績は、たくさんむさぼるべきものであろうか、

 それは、一度口にすればもう天下を治めることにも飽きてしまうものではないか。

 それよりもほんとうにうらやましいのは、その時代の栄華に見向きもせずに、

 悠然と高いところを踏むような、自適の生活をしているひとではないか。

紛紛党争裏、 紛々たる党争の裏、

君子可長留。 君子長く留まるべけんや。

一擲宰相印、 一擲す、宰相の印、

明朝湖上舟。 明朝、湖上の舟。

 ごたごたとした政党の争いの中に、

 よきひとは長く留まるべきであろうか。

 あっという間に宰相の印鑑をなげうって、

 次の朝にはもう湖上の舟のひととなろうよ。(越王勾践に仕えた范蠡のように)

軒冕換蓑笠、 軒冕(けんべん)は蓑笠(さりゅう)に換え、

江湖一釣船、 江湖の一釣船。

後来廟廊士、 後来の廟廊の士、

庶学克堂賢。 庶(ねがわ)くば学べ、克堂の賢。

 高い官職を示すかんむりは棄てて、みのと笠に換えてしまい、

 人民たちの棲む川と湖の地に一艘の釣り船を浮かべるのだ。

 これから先の朝廷に仕えるひとびとも、

 どうぞ克堂先生の賢を学んでほしい。

ということで、相手は普通選挙法を通した「克堂」若槻禮次郎さんで、書いたのは与謝野鉄幹さん正解は4でしたー。

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こんな問題が来年のセンター試験に出るかもしれないんですよ。勉強してくださいよ。

鉄幹・与謝野寛「呈克堂若槻宰相、五首。聞君近日有掛冠之志」「克堂・若槻宰相に奉呈する五首の詩。聞くところでは、あなたは近いうちにカンムリを都の門柱に掛けて、郷里に帰ってしまおうとしているという」)。昭和二年(1927)の詩。鉄幹五十三歳。甥の後の国家社会主義者・赤松克麿は、この時は社会民衆党中央委員、昭和四年の普選に出馬して落選。なお若槻は総理は辞めますが政界は引退しないので、もう一度、濱口雄幸の後、第二次内閣を組織することになりますが。

 

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