平成27年8月2日(日)  目次へ  前回に戻る

こにゃつは本質的にブタと思われるのに、どうして表面上蚊取り線香立てのふりをしているニャか?

また明日が来る。あと一週間ぐらい休めば元気になるかも知れないけど・・・。

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さて、古代の思想家・楊朱さまには弟さんがいたんだそうです。

楊朱之弟曰布。

楊朱の弟、布と曰う。

楊朱の弟は、布という名前であった。

彼は兄の朱と同居していたらしいが、ある日、

衣素衣而出。

素衣を衣(き)て出づ。

白い服を着て出かけた。

ところが、途中で

天雨。

天、雨ふる。

天気が雨になった。

このため、楊布はずぶ濡れになってしまい、出先で着替えを借りた。

解素衣、衣湽衣而反。

素衣を解きて、湽衣(しい)を衣て反(かえ)る。

白い服を脱いで、黒い服を着て帰ってきたのである。

すると、その楊布の姿を見て、

其狗不知、迎而吠之。

その狗、知らざれば、迎えてこれに吠ゆ。

楊家のイヌは、それが楊布だと気づかずに、家に入ろうとする布に向かって吠えかかった。

「御主人さまだということがわからないのか!」

楊布怒、将撲之。楊朱曰、子無撲矣。

楊布怒り、まさにこれを撲(う)たんとす。楊朱曰く、「子、撲つなかれ」と。

楊布は怒って、イヌをぶんなぐろうとした。それを見ていた楊朱が言うに、

「これ、おまえ、ぶんなぐってはいかんぞ」

と。

楊朱は続けて言った。

子亦猶是也。向者使汝狗白而往、黒而来、豈能無怪哉。

子もまたかくのごときなり。向者(さき)に汝の狗をして白くして往かしめしに、黒くして来たれば、あによく怪しむ無きか。

「おまえも同じようなものだぞ。もし、まずおまえの白いイヌにどこかに使いに行かせたところが、黒くなって帰ってきたら、「本当に同じイヌだろうか」と怪しまないでいられるのか?」

そう言って、楊朱は「ああ」と深いため息をついたのであった。

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「列子」説符篇より。

ニンゲンはみな、本質ではなく表面しか見ていない、ということを嘆いたのである。おいらも表面は笑ったりしゃべったりしていても、内面はもううつうつなんですよ。

 

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