平成27年2月13日(金)  目次へ  前回に戻る

こんな寒い夜でもお外でしごとしているひとはいる。

春になったはずなのにまだ寒い。こんなに寒くては年寄に天体観測なんかできませんよ。

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そこで

「今日は寒いからコドモが観測しなさい」

と言われて、

「あい、わかりまちた」

と答えまして、おいら天文童子は夜空を見上げていまちた。

あ。発見!

「流星でちゅ! 流星でちゅよ!

如盆色白長数丈、滅而雲裔天。

盆の如く、色白くして長さ数丈、滅して雲、天に裔す。

お皿のように丸く大きく、色は白くて地上から見ていると5メートルぐらいの長さの尾を引き、消えたあとも天にうっすらと雲のような跡を残っていまっちゅ!」

とおいらが階下に向かって叫ぶと、

「なんじゃと!」

と太史さまが白いひげをいじくりながら驚いたようにおっしゃった!

名査嶺、所墜之地兵戦流血。

査嶺と名づけ、墜つるところの地、兵戦流血す。

「その星は「査嶺」(されい)じゃ!その星の隕ちたところには戦争が起こり血が流れるという―――

凶星じゃあ!」

あ。

「また流星でちゅー!

如盆而揺頭或上或下。

盆の如くして頭を揺るがし、或は上がり或は下る。

お皿のように丸く大きく、先頭部分がゆらゆらと、上がったり下がったりちておりまちゅるよー!」

「なんじゃと!」

太史さまはまた驚いたようにおっしゃったのでちゅ!

所上所下饑荒。

上がるところ、下がるところ、饑荒せん。

「その星が上がったところの真下の地と、下がったところの真下の地では、凶作になって飢餓が起こるという―――

凶星じゃあ!」

やや。

「またでちゅ、また流星でちゅー!

如缶光赤黒有啄梁。

缶の如く光赤黒くして梁を啄む有り。

ほとぎ(土器の一種)のような形で赤黒く光り、天の梁国の宙域に突っ込んでいきまちたー!」

「なんじゃと!」

太史さまはまたまた驚いたようにおっしゃったのでちゅ!

星所墜兵起失地。

星の墜つるところ、兵起こり地失われん。

「その星の落ちたところでは、戦争が起こり領土が奪われるという―――

凶星じゃあ!」

あ、あ。

今度は色赤くして地を照らして行く星が―――!

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もう飽きてきまちたね。朝までやってろ、て感じ。

どんな流星でも色・形・領域などを太史さまにお伝えすれば、太史さまはその星のせいで何が起こるのかすぐわかりまちゅ。北周・庾季才「霊台秘苑」巻十五にいろんな流星の占い方が書いてあるからでちゅねー。

 

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