平成23年12月1日(木)  目次へ  前回に戻る

 

あと一日・・・。

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さて、読者諸兄におかれては

骨咄犀

というモノを知っておられますかな?

そのまま読めば、「こつとつさい」。

この「犀」は、「サイ」というドウブツではなく、「サイ」というドウブツの「ツノ」のようなモノ、というぐらいの意味でして、

骨咄犀、蛇角也。

骨咄犀は蛇角なり。

「こつとつさい」というのは、ヘビの角である。

なるほど。角のあるヘビの角なのです。

このヘビの角は、

其性至毒。

その性至って毒なり。

たいへんな毒性を持っておる。

しかし、一方で、

能解毒。蓋以毒攻毒也。

よく毒を解く。けだし、毒を以て毒を攻むるなり。

解毒剤にもなるのである。つまり、毒を以て毒を制す、というわけだ。

そこで、わたくし思うに、「こつとつさい」とは、

蠱毒犀(こどくさい)

すなわち「ヘビ毒によるすごいきつい毒の角」というのが本義ではなかろうか。

・・・と思ったのですが、「唐書」を繰るに、いにしえ

古都國(こと・こく)

という國があったよし。

されば、このヘビの角は、その地の名産だったのではなかろうか。

すなわち、もとは

古都犀(ことさい)

だったのだろう。

今人訛為骨咄耳。

今人訛して骨咄と為すのみ。

今のひとが言葉をあやまって、「こつとつ」と読んでしまっているだけでありましょう。

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ほんとかどうか知りません。しかし、本当に毒を以て毒を制することができるんですね。「南村輟耕録」巻二十九より。

なお、「唐書にいう古都國」というのは、今確認できないが、かえって「新唐書」西域伝下(巻221下)に、

骨咄或曰珂咄羅。

骨咄、あるいは珂咄羅という。

「こつとつ」國は、あるいは「かとつら」ともいう。

という國が西域、カシミールの先にあって、良馬と赤豹を産すると記されているから、「骨咄」そのものが國名なので、わざわざ「古都國」の転訛だという必要はないのである。南村老人はおバカちゃんですね。御参考まで。

 

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