平成22年11月22日(月)  目次へ  前回に戻る

(その1)

福岡上空で21日夜、複数の色に輝く「謎の光」が観測された。出張中の大分県豊後大野市の中学校教員、藤村さん(55)が写真に収めた。

藤村さんによると、観測したのは午後10時ごろから約20分間。ホテルに戻るため福岡市博多区の冷泉公園に来たところ、ほぼ天頂付近にあった月の北西側に、オレンジ色や青色、白色、に輝く複数の光に気づいた。

星よりも大きく、多い時には13個見えた。光が作る形は「M字型」に見えることもあった。

藤村さんは「周囲で10人ぐらいが一緒に見た。薄い雲越しにはっきりと見え、ぼんやりとにじんで消えた。同じ場所で光り続けていたので、飛行機ではないと思う」と話した。(下略) ―――毎日新聞平成22年11月22日西部版―――

(その2)

私は(※インドネシアの)バリ滞在中、レヤク(※妖術師)の果し合いが夜行われるから見に行かないかといわれ、ある晩友人と出かけた。前の晩には、光に変身したレヤクの戦いが夜空にはっきりと見えたという。これを見たという青年は(1974年11月17日の夜)ルノン村とサヌール村の間のサヌール通りの西方の空にレヤクの青い光と赤い光が両方からぶつかるのが見えたと真剣な顔をして話していた。その翌日、サヌールのレヤクとギアニャールのレヤクとが戦うということで、夜十一時ごろその場所に行ってみた。そこには五十人ぐらいの人たちが集まって夜空を見上げていた・・・(中略)・・・、午前一時ごろひきあげた。いっしょに来てくれたバリ人のボゴグ氏に聞いてみると、きっとレヤクの果し合いは昨日で終わったのだろう、といことであった。・・・・  ―――吉田禎吾「魔性の文化誌」(1976研究社)(文中かっこ内の※は引用者注)―――

(その3)

天明元年十月廿六日(1781)、夜、亥の刻過ぎ(22〜23時ごろ)、震動夥しく、暫く有りて赤色の光物現はれ、東の方より西をさして飛び、形は満月の如く、白昼よりも明るく相成り候につき、諸人いずれも胆を潰し驚き見申し候。追いて承れば(その後聞いたところでは)諸国共、同夜同様のよし。まことに奇異のことなりき。―――作者未詳「天明紀聞」―――

(その4)

ことし戊午(寛政十年、1798)十月廿九日夜、星の飛ぶことおびただしく、四方の星雨のやうになん飛び侍ること、あやしきと人々いふ。江戸よりたよりありたるが、おなじ事なりしといひこす。・・・この頃いとあたヽかなれば、水気をむしあげたるか・・・。―――松平定信「退閑雑記」後巻四―――

(その5)

嘉慶戊午(1798)十月廿八から九日にかけての夜、

衆星交流如繊、人人共覩。

衆星交流すること繊(おりいと)の如く、人人ともに覩(み)る。

星ぼしが流れ、交わり、まるで織り糸のようであった。多くのひとが見たのである。

また、庚辰(1820)七月十八日の夜、

有星移之異。

星移るの異有り。

星がさまよい移動するという異常なことがあった。

同月二十五日の夜明け方には、

有大流星隕于南方、光如白昼。

大流星の南方に隕つるありて、光は白昼の如し。

巨大な流れ星が南の方に落ちた。その星の光で、まるで白昼のように明るくなった。

その前の五月から六月にかけて、太陽のかたわらに小さな星が現われ、太陽のそばを離れずに移動していた。

八月十五日の夜には、今度は月のかたわらに小さな星が現われ、月のそばを離れずに移動するということがあった。

甲申(1824.道光四年)十一月の十日夜、西北方に星隕ちること雨の如し。

乙酉(1825)十月廿四から廿五日の夜、天候は雨であったが、雲の向こう側で

星移如繊、倶由西北至東南。

星移ること繊の如く、ともに西北より東南に至る。

星が、糸のように尾を引きながら移動した。すべて西北から東南方面に移動したのである。

二十六日の夜には、東南の方に星が落ちた。

颯颯有声、最後有大星堕于地、其声如雷。

颯颯として声あり、最後、大星の地に堕つる有りて、その声かみなりの如し。

シャーシャーという音がし、最後に大きな星が地上に落ちたらしく、落雷のように激しい音がした。

―――「履園叢話」十四「星異」条より。お。このあとの「地中犬」というのもオモシロい話やな、ふむふむ。なるほどなあ―――

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まだまだいくらでも類話はあります。たとえば→(その6)のAなど。藤原定家の「明月記」にも丸いのと細長いのと、二種類のひかりものが無数に空にあって争いあい、明け方には一方が勝った、という記事が出てきたと記憶するが今手許に無いので正確には引用ができません。

これらはなんなのでしょうね。―――「アレに決まってるじゃないか・・・」とみなさんだいたいわかってはいるのですが、言えませんよね。

 

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